[P251] 大学の聴覚障害学生と健常学生における友人関係の形成・維持要因
2組の友人グループへのインタビューに基づく事例的検討
Keywords:インクルーシブ教育、全聾、集団面接
本研究は,大学の聴覚障害学生と健常学生における友人関係の形成や維持に関連する要因を検討した。方法は,感音性難聴学生2名(AとB)を対象に,友人の健常学生を含めた集団面接をした。1組目はAを含む4名,2組目はBを含む3名であった。面接では「友人になるきっかけ」,「友人への思いや支えられていると感じたこと」,「コミュニケーションで感じたこと」を尋ねた。その結果,聴覚障害学生は健常学生との交流に戸惑いがあったが,交流を通して自分の意思を表明する大切さを感じていた。また,聴覚障害学生は一方的に支援されるのではなく,健常学生に手話などを教えており,友人関係の維持に必要な互恵性がみられた。最後に,友人関係の形成や維持には,聴覚障害学生の長所や手話コミュニケーションの面白さを伝える機会を設けるなどして,健常学生と聴覚障害学生の双方が交流への動機づけを高める必要性を考察した。