日本地質学会第128年学術大会

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口頭発表

T4.[トピック]二次改変された過去の弧-海溝系の復元:日本およびその他の例

[1ch401-07] T4.[トピック]二次改変された過去の弧-海溝系の復元:日本およびその他の例

2021年9月4日(土) 08:00 〜 10:30 第4 (第4)

座長:磯崎 行雄、青木 一勝

08:15 〜 08:30

[T4-O-2] 大分県周辺の白亜紀花崗岩類のジルコンU-Pb年代

*堤 之恭1、谷 健一郎1 (1. 国立科学博物館地学研究部)

キーワード:ジルコン年代、国東、朝地、領家、肥後

九州の先白亜紀基盤岩類は、第三紀以降の激しい火山活動による噴出物によって大部分が被覆されているものの、各所に白亜紀花崗岩類が点在することが分かっている。それらの活動史の研究は、長らくRb-Sr全岩(―鉱物アイソクロン)年代やK-Ar年代を用いて行われてきが、近年急速に普及したジルコンU-Pb年代は、古典的な活動史を各地において更新してきた。今回、大分県東北部の国東半島地域および西部の朝地地域より計12試料の白亜紀花崗岩類よりジルコンU-Pb年代測定を行ったので、その結果を報告する。
 国東半島地域の花崗岩類は、半島南東部では108~111 Maと比較的古い値を、半島中央部から福岡県県境地域にかけて95~100 Maを示した。前者の年代は肥後帯(108~113 Ma:堤, 2019)に対応するものと思われる。一方、後者は領家帯に一般的にみられる年代に対応し、瀬戸内海を挟んだ柳井地域(Skrzypek et al., 2016)や高縄半島(Shimooka et al., 2019)の年代とも良い一致を示すので、領家帯の西方延長と考えることができる。
 朝地地域古くは領家帯の西方延長と考えられてきたが、近年では肥後帯に含める場合もある。花崗岩類は、荷尾杵花崗岩を中心として、山中花崗閃緑岩、綿田花崗閃緑岩が存在する。荷尾杵花崗岩のジルコンはU濃度が極めて高く、激しくメタミクト化しているためにほとんど測定できなかったが、測定できた少数のデータは約117 Maおよび123 Maを示した。山中および綿田の試料は約105 Maを示した。荷尾杵花崗岩からは106 ± 4 MaのモナザイトCHIME年代(高木ほか, 2007)や134.7 ± 2.8 MaのジルコンU-Pb年代(藤井ほか, 2008)が報告されている。荷尾杵花崗岩のモナザイトCHIME年代は、山中・綿田両岩体の貫入を記録していると思われる。ジルコン年代に関しては今後も検討の余地が残るが、山中・綿田両岩体より古いことは確実であろう。

藤井ほか (2008) 地雑 114, 127-140.; Shimooka et al. (2019) JMPS 114 284-289.; Skrzypek et al. (2016) Lithos 260, 9–27. 高木ほか (2007) 地雑 113, 1-14.; 堤 (2019) 地質学会要旨 126, 42.