日本地質学会第128年学術大会

講演情報

ポスター発表

T2.[トピック]続・海底地盤変動学のススメ

[1poster03-04] T2.[トピック]続・海底地盤変動学のススメ

2021年9月4日(土) 16:30 〜 19:00 ポスター会場 (ポスター会場)

16:30 〜 19:00

[T2-P-2] 海底地盤変動学のススム道

*川村 喜一郎1、野村 英雄2、永川 勝久2、武政 学2、田中 淳2 (1. 山口大学、2. 基礎地盤コンサルタンツ株式会社)

キーワード:海底地すべり、洋上風力発電、海底地質リスク、クリープ、仙台沖

地質学は不均質性との戦いである。ここに地質リスクが存在しており、複雑な地質を如何に最適モデル化できるかが課題である。最適モデルにするためには、測定・観測要素を適切に抽出する必要があり、その選定は目的にあったかたちで実施されている。最適モデルにするためには、それらの事象の進行プロセスや発生メカニズムを知る必要があり、モデルを裏打ちするような原理原則が必要不可欠である。このように陸上における課題として、地質リスクが存在しているが、海底となるとさらに難しい問題となる。しかし、この難敵は、資源採掘や構造物建設、さらには既存の構造物の沿岸防災において、避けて通れない課題である。近年話題になっている洋上風力発電においては、喫緊の課題であり、津波や構造物を破壊する要因となる海底地すべり、敷設する送電ケーブルを切断する恐れのある混濁流、構造物に直接ダメジを与える恐れのあるシャローガスや泥火山、液状化などの海底地盤でのリスク要素、など事象は知られているが、発生規模や発生頻度、場所を特定困難なものばかりである。これらの海底地質リスク評価は、ある意味日本型であるとも言え、用地選定だけでなく、その後の施工や維持管理において、ボディーブローのように効いてくる問題であることは容易に想像がつく。ここでは、Nitta et al. (2019)で報告された仙台沖の水深1000m程度の海底クリープ現象を報告し、その地質学的な意義について論じる。また、短い発表時間ではあるが、上記のリスク要素の捉え方、浅海域における地質リスク評価のアプローチ法、さらには、それらを検討する国内外組織についてみなさんと議論したい。

引用文献
Sayaka Nitta, Takafumi Kasaya, Kiichiro Kawamura, 2021, Geological Magazine , Volume 158 , Special Issue 1: Subduction zone processes and crustal growth mechanisms at Pacific-Rim continental margins: modern and ancient analogues, pp. 39 - 46. DOI: https://doi.org/10.1017/S0016756818000894