130th Annual Meeting of the Geological Society of Japan

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Session Oral

G-2. sub-Session 02

[2oral601-11] G-2. sub-Session 02

Mon. Sep 18, 2023 8:45 AM - 12:00 PM oral-06 (37-North Wing, Yoshida-South Campus Academic Center Bldg.)

Chiar:Takeshi Yoshida, Yoshitaka Nagahashi, Yoshihiro Takeshita(Shinshu Univ), Masaoki Uno

9:45 AM - 10:00 AM

[G2-O-4] Oxygen isotope of modern Pollen in Japan; its distribution and relevance over the climate condition

*Hirofumi Asahi1, Keitaro Yamada2, Takeshi Nakagawa2 (1. Fukui Prefectural Satoyama-Satoumi Research Institute , 2. Ritsumei University)

Keywords:Pollen, Oxygen Isotope

酸やアルカリに耐性が高い花粉化石は、陸域の環境復元に多大な貢献を果たしている。その化学成分や同位体比動態を用いた環境復元は、堆積物からの化石試料の単離(抽出)・花粉化石の高い薬品耐性に由来する化学成分抽出の困難から研究例が多くはない。近年の技術開発の深化によって堆積物からの花粉化石高純度抽出が可能となり、花粉化石の化学情報を用いた環境復元が現実的となってきている。反面、花粉(特に化石として残る部分)の化学動態と現在環境の対比研究は、試料下処理・分析手法が多様であり発展途上である。 本発表では、全国を網羅する現生花粉試料の酸素同位体比分布を紹介し、気象条件(例えば気温や降水量)との対応について議論する。
気象データは、農業産業技術総合研究機構の1kmメッシュデータを利用し、採取時期(〜おおよそ開花時期)の一年前程度までのデータを採取した。花粉試料には試料破砕、アルカリ溶出により化石化処理を施した。処理された試料は、熱分解型元素分析装置(Elementar社, GEOVISIONシステム OH mode)で測定を行った。
花粉酸素同位体比は、属ごとに特徴的な分布(例えばスギ属だと、平均24.8‰ VSMOW; 標準偏差 2.21‰ VSMOW; n=64)を示した。酸素同位体比と気象との関係性は族毎に異なった傾向を示し、スギ属ハンノキ属は気温・降水量との対比が見られた。この結果は異なる分析装置と前処理方法での測定結果と類似している。 局所的な日当たりや樹木の成長といった細かな要因が花粉の安定同位体比に及ぼす効果は容易に想像できる。入手できる気象データの解像度には限りがあり、各樹木の個体に影響するパラメーターを推察することは困難であるため、花粉同位体比と気象条件の直接的な対比には限界がある。本発表ではより広範な両者の関係性解析方法を紹介し、花粉酸素同位体比の環境復元での有効性について議論する。