一般社団法人日本老年歯科医学会 第29回学術大会

講演情報

認定医審査ポスター

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2018年6月21日(木) 12:30 〜 16:00 ポスター会場 (7F イベントホール)

[認定P-07] 全部床義歯新製と簡便な食事指導が無歯顎高齢者の栄養素摂取と栄養状態に及ぼす影響

○鈴木 啓之1 (1. 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科高齢者歯科学分野)

【目的】
 全部床義歯新製に加えてパンフレットを用いた簡便な食事指導を行うことによる無歯顎高齢者の栄養素摂取量および栄養状態への影響を調査したので報告する。
【対象および方法】
 参加者は全部床義歯の新製を希望する無歯顎高齢者70名とし,無作為に全部床義歯新製+食事指導群(介入群)と全部床義歯新製+義歯ケア指導群(対照群)の2群に割りつけ,無作為化比較臨床試験を行った。アウトカムは栄養素摂取量と栄養状態とし,介入前,介入3ヵ月後,および介入6ヵ月後の,計3回評価を行った。栄養素摂取量は簡易型自記式食事歴法質問票(BDHQ)を,栄養状態はMNA-SFを用いて評価した。統計解析は共分散分析とマンホイットニーのU検定を行った。
 本研究は東京医科歯科大学歯学系倫理審査委員会の承認を得て行った。(第1144号)
【結果と考察】
 すべての研究過程を終了した59名(男性30名,女性29名,平均年齢76.7歳)の結果による解析を行った。介入3ヵ月後において介入群の方が,タンパク質(p=0.004)などの栄養素を有意に多く摂取しており,介入6ヵ月後において植物性タンパク質(p=0.028)の摂取量は介入群が有意に多く,動物性タンパク質(p=0.049),ビタミンB12(p=0.028)の摂取量は対象群が有意に多かった。また,MNA-SFスコアは,術前および介入3ヵ月後の2群間に有意差は認められなかったが,介入6ヵ月後において介入群の方が有意に高いスコアを示した(p=0.01)。このことから,全部床義歯新製に加えてパンフレットを用いた簡便な食事指導を行うことは,自力通院可能な無歯顎高齢者の栄養素摂取量を改善し,栄養状態を維持できる可能性が示唆された。