The 29th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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認定医審査ポスター

認定医審査ポスター

認定医審査ポスター

Thu. Jun 21, 2018 12:30 PM - 4:00 PM ポスター会場 (7F イベントホール)

[認定P-17] 1日中持続する痛みを訴えた典型的三叉神経痛(純粋発作性)の1例

○臼田 頌1 (1. 慶應義塾大学歯科・口腔外科学教室)

【目的】
 口腔顔面痛疾患の診断は,構造化された痛みの問診を行い,患者の訴える症状から鑑別疾患を列挙し,診査結果とClosed Questionにより絞り込み,確定診断を行う。しかし患者が高齢の場合,自覚症状の誤認識や表現不足により,正しく鑑別疾患を絞り込めない場合がある。今回われわれは,「1日中持続する痛み」を訴えた典型的三叉神経痛を経験したので報告する。
【症例および処置】
 77歳女性,1ヵ月前より出現した右下あごの痛みを主訴に当科初診,問診では,「場所:右下のあご」「性状:稲妻のような鋭い痛み」「持続時間:起きてから寝るまで」「頻度:1日中ずっと」「強さ:激痛」「増悪因子:食事,話す」「改善因子:じっとしている」との訴えであった。鑑別疾患は,典型的三叉神経痛(純粋発作性)や持続性顔面痛を伴う典型的三叉神経痛,急性歯髄炎,三叉神経・自律神経性頭痛などを挙げた。歯や口腔顔面の診査を行ったが,痛みに見合う異常所見は認めなかった。短時間の激痛と不応期という三叉神経痛の代表する特徴は認めないが,その他の所見から典型的三叉神経痛が最も疑わしいと考え,患者の年齢による痛みの誤認識の可能性を疑った。そこで痛みの持続時間を再度詳細に確認したところ,痛みのために1日中動かずに我慢しているが持続痛ではないことが判明した。その後,診察時に1分未満の発作痛を生じ,不応期も確認でき最終診断は典型的三叉神経痛(純粋発作性)とした。カルバマゼピン100mgを処方し翌日には疼痛は消失した。
【結果と考察】
 高齢患者の痛みの訴えには,誤認識の可能性を考慮し,鑑別疾患からの絞り込みにClosed Questionを適切に使用し,正しい情報を得ることが重要である。