The 29th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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摂食機能療法専門歯科医師審査ポスター

摂食機能療法専門歯科医師審査ポスター

摂食機能療法専門歯科医師審査ポスター

Fri. Jun 22, 2018 10:00 AM - 4:30 PM ポスター会場(5F講習室4) (5F 講習室4)

[摂食P-05] 外来通院での摂食嚥下リハビリテーションによりQOLが向上した舌癌術後患者の一例

○渡邉 哲1 (1. 愛知学院大学歯学部顎顔面外科学講座)

【目的】
 口腔癌術後には嚥下障害を合併することがあるが,外来通院になると嚥下障害の治療を受ける機会が減り適切に対応できないことがある。今回,外来通院で訓練しQOLが向上した一例を経験したので報告する。
【症例】
 60歳,男性。現病歴:他施設で,左舌癌(cT4aN2bM0)にて手術と化学放射線療法施行。術後,舌摂食補助床(PAP)を作製したが,嘔吐反射が強く使用できず,PAP調整,口腔管理目的に紹介となり,当院補綴科で治療を行っていた。自分の唾液を誤嚥してむせ込み,会話ができないため術後11ヵ月の時点で嚥下機能評価目的に当科紹介となる。現症:身長171cm,体重61.7kg。嘔吐反射が強く,全体に歯肉炎を認めブラッシングで容易に出血。舌は皮弁で可動しないため,流動食をチューブで咽頭に送り込み食事摂取。食事時間60分,1日に10回以上むせていた。RSST 5回,MWST 3点。唾液誤嚥でむせ込み会話困難。構音障害もあるため会話を嫌い,そのため外出も嫌って引きこもり,通院の時だけ外出。通院は奥様が付き添い,奥様の車で受診していた。
【処置および経過】
 嚥下機能評価後,VF施行。発語,日常生活指導と口腔管理(歯科衛生士),嚥下訓練(看護師),栄養指導(栄養士)を行ったところ,食事時間40分,体重64kg,会話時にむせることもなくなり,毎日散歩し,当院への通院も公共交通機関を使用して1人で受診するようになった。
【結語】
 術後の機能障害は,心理的にも影響を与えQOLを低下させることもある。特に,外来通院では十分なケアができなくなることがあるため,術後のQOL向上のために外来通院でも適切に対応する必要がある。