The 29th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題ポスター

教育

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Fri. Jun 22, 2018 9:50 AM - 4:50 PM ポスター会場 (7F イベントホール)

[P一般-089] シミュレーターによる高齢者の口腔内の状態の記録実習のための基礎的調査

○宇佐美 博志1,2、 宮本 佳宏1,2、上野 温子1、池戸 泉美1,2、高濱  豊1、水野 辰哉1,2、竹内 一夫1,2、杉本 太造2、 服部 正巳1,2 (1. 愛知学院大学歯学部高齢者歯科学講座、2. 愛知学院大学歯学部在宅歯科療養学寄附講座)

【目的】
 高齢者の口腔内と周辺器官と人体を再現したシミュレーターに「マナボット」がある。口腔のケア,気管内吸引,内視鏡検査等の実習に使われている。特に口腔内の再現は高齢者の特徴に配慮し工夫されている。これまで口腔内の診察の実習には通常の成人の歯列および形態の顎模型を使用していた。歯科診療椅子にマネキンを乗せて診察姿勢に留意し,歯についての診察結果を記録することが一般的であった。本研究は,マナボットの口腔と周囲軟組織の状態の記録を行うための基礎資料を得ることが目的である。顎模型の再現性の確認として歯科医師による口腔内の診察結果と再現した口腔内の状態との一致度について検討した。
【方法】
 高齢者特有の口腔内を再現した顎模型はレジン前装ブリッジ,臼歯部ブリッジの補綴装置や欠損,残根,動揺歯や咬耗等が付与されている。また,軟組織は舌根や口蓋垂の形態が再現されている。新たに舌苔,カンジダによる白苔,縁上歯石を追加して付与した。診察はマナボットの全身モデルを車いすに乗せた状態でミラー,ピンセットおよび携帯用照明器具を用いて行った。あらかじめ高齢者を模していることを伝え口腔内の状態について診察を行った。対象は歯科医師5名である。1人につき5分間で診察と口腔内の記録を行わせた。その結果と再現した口腔内の状態の一致度について評価した。また,再現した口腔内の状態の見落としには再確認し診察者の意見を求めた。
【結果と考察】
 一致度は上顎に関連する項目が92%で下顎の項目が96%であった。見落としの理由には光量が足りない,開口量が少ないなどの意見があった。従来の口腔内の状態記録の実習に追加されるべき指導の要点があることが示唆された。