[P一般-009] オーラルフレイルの自覚症状と他覚症状の相違に関する研究
目的:ヒトの老化の過程において,“健常”から“要介護”へ移行する間における心身機能の低下を示す状態を“虚弱(フレイル)”と呼ぶ.このフレイルの前段階の時期に口腔機能の低下(オーラルフレイル:OF)が出現すると言われている.OFを放置すると,摂食機能障害が起こり,要介護状態に陥りやすくなるため,OFをできるだけ早期に発見し,対応することが重要となる.しかし,自身の口腔機能について把握している患者は少なく,早期の医療機関受診に至らないのが実情である.そこで,20歳以上の地域在住者における口腔機能の「自覚症状」と,実際の口腔機能精密検査結果による「他覚症状」の相違について検討を行った.
方法:当院を受診した患者を対象とし,①口腔機能の自覚症状に関するアンケート調査,②身体機能等に関する問診,③口腔機能および身体機能に関する客観的検査を実施した(調査期間:2019年6月~2019年11月).口腔機能低下症の診断基準に準じて,得られたデータから自覚症状OF(自覚OF),他覚症状OF(他覚OF)の判定,および年齢,性別等の関連因子について分析検討を行った.
結果と考察:対象者は47名(男性:22名,女性:25名,37~89歳,平均年齢:70.6±12.89歳・中央値72歳)であった.自覚OF(12例:25.6%)は50歳代からみられたが,年齢との関連は認めなかった.一方,他覚OF(9例:19.1%)は70歳代からみられ,高齢者に多く認められた.自覚OF,他覚OFともに性別との関連性は認めなかった.
自覚OFがなく他覚OFが認められたものは8例で,他覚OF群の約9割を占めていた.この群は高齢者(平均年齢:83.3±5.42歳,中央値:84歳)が多く認められたが,性別との関連性は認めなかった.また,この群において,OFの判定項目に関する自覚症状と他覚症状の一致率をみたところ,舌口唇運動に関する項目が最も低い結果(一致率:0%)となった.
本研究結果より,「年齢」がOFの自覚症状と他覚症状の相違をもたらす因子の一つであることが示唆されたが,その他の関連因子についても探索的研究を進めていく必要があると考えられた.
(COI開示:なし)
(老年歯科倫理 2019-1番)
方法:当院を受診した患者を対象とし,①口腔機能の自覚症状に関するアンケート調査,②身体機能等に関する問診,③口腔機能および身体機能に関する客観的検査を実施した(調査期間:2019年6月~2019年11月).口腔機能低下症の診断基準に準じて,得られたデータから自覚症状OF(自覚OF),他覚症状OF(他覚OF)の判定,および年齢,性別等の関連因子について分析検討を行った.
結果と考察:対象者は47名(男性:22名,女性:25名,37~89歳,平均年齢:70.6±12.89歳・中央値72歳)であった.自覚OF(12例:25.6%)は50歳代からみられたが,年齢との関連は認めなかった.一方,他覚OF(9例:19.1%)は70歳代からみられ,高齢者に多く認められた.自覚OF,他覚OFともに性別との関連性は認めなかった.
自覚OFがなく他覚OFが認められたものは8例で,他覚OF群の約9割を占めていた.この群は高齢者(平均年齢:83.3±5.42歳,中央値:84歳)が多く認められたが,性別との関連性は認めなかった.また,この群において,OFの判定項目に関する自覚症状と他覚症状の一致率をみたところ,舌口唇運動に関する項目が最も低い結果(一致率:0%)となった.
本研究結果より,「年齢」がOFの自覚症状と他覚症状の相違をもたらす因子の一つであることが示唆されたが,その他の関連因子についても探索的研究を進めていく必要があると考えられた.
(COI開示:なし)
(老年歯科倫理 2019-1番)