The 31st Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題(ポスター)

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その他

[P一般-118] 慢性期施設入所の嚥下障害者における頸部への経皮的干渉波電気感覚刺激の効果

○原 良子1,2、中根 綾子1、戸原 玄1、佐藤 茉莉恵1、吉住 結1、安藤 麻里子1、長谷川 翔平1、奥村 拓真1、石井 美紀1、Chantaramanee Ariya1、河合 陽介1、小谷 朋子1、中富 葉奈1、堀内 玲1、水口 俊介1 (1. 東京医科歯科大学大学院高齢者歯科学分野、2. 原歯科医院(東京都))

【目的】

急性期における, 嚥下リハビリテーションを実施している嚥下障害患者の頸部への経皮的干渉波電気感覚刺激(Interferential current transcutaneous electric sensory stimulation: IFC-TESS)により,咳反射及び栄養状態が改善されたとの報告がある。そこで我々は,嚥下調整食を摂取している認知症を含む慢性期施設入所者において,通常の生活下におけるIFC-TESSの効果の有効性を明らかにすることを目的とする。

【方法】

慢性期施設に入所する嚥下障害者60人(17男,43女)に1日2回15分ずつ週5日IFC-TESS(Gentle Stim®;J Craft, Osaka, Japan)を使用し,介入前・3週間後の比較試験を行った。2つの異なる周波数の差から生み出される50Hzの干渉波を,痛みを感じない強度で使用した。アウトカムは咳反射及び栄養状態の改善とした。咳反射は咳テストによる咳誘発時間及び咳回数の変化,栄養状態は 機能的経口摂取量(FOIS)及び経口摂取カロリーの変化により評価した。咳誘発時間・咳回数・FOIS・経口摂取カロリーの介入前後の差を従属変数とし,年齢・性別・BMI・BI・MMSEを独立変数として調整し,重回帰分析を行った。

【結果と考察】

参加者の平均年齢は84.1±10.5歳で,女性が71.7%であった。介入前・3週間後の咳誘発時間(29.3±24.7対17.2±21.3)秒/分,咳回数(3.0±2.3対4.2±1.8)回/分,FOIS(5.1±0.9対5.2±0.8),経口摂取カロリー(1145.8±351.8対1244.2±278.4)kcal/dayと全てに有意な改善が認められた(p<0.01)。重回帰分析の結果FOISにはMMSEが,経口摂取カロリーにはMMSEとBIが影響を与える独立因子であることが分かった。

慢性期施設において, 認知症を有する嚥下障害者の頸部へのIFC-TESSは, 咳反射及び栄養状態を改善することが示唆された。IFC-TESSは,従来積極的なリハビリテーションの実施が困難であった認知症の患者にも,実施可能でかつ効果の期待できる摂食嚥下リハビリテーションの一つと考える。

(COI開示:なし)

(東京医科歯科大学歯学部 倫理審査委員会承認番号D2018-005)