The 31st Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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[P一般-119] 高齢者舌苔細菌叢に与えるサルコペニアの影響

○並河 大裕1、眞砂 彩子1、南部 隆之2、小渕 隆一郎1、奥野 健太郎1、Kang Wenyan2,3、Zhang Lei1,3、沖永 敏則2、髙橋 一也1 (1. 大阪歯科大学 高齢者歯科学講座、2. 大阪歯科大学 細菌学講座、3. Hohhot stomatology hospital, Inner Mongolia, China)

目  的:超高齢者社会を迎えた日本では、平均寿命だけでなく健康寿命の延伸への取り組みが求められている。フレイルは身体的・精神的・社会的要素が提唱され、身体的フレイルの危険因子としてはサルコペニアが報告されている。我々は、全身サルコペニアと口腔サルコペニアにおいて、筋量・筋力・運動能力が関連している可能性を報告してきた。一方、高齢者口腔細菌叢においては、誤嚥性肺炎死に関連した細菌ネットワークの研究が散見されている。そこで、今回、我々は、高齢者口腔細菌叢に対するサルコペニアの影響について、細菌学的視点から検証することとした。

方  法:65歳以上の特別養護老人ホーム入居者の男女およびサービス付き高齢者向け住居入居者の男女で全身性サルコペニアを評価した者を対象者とした。舌ブラシにて舌苔を採取し、採取したサンプルは、保冷移送後にDNA抽出した。イルミナ社MiSeqを用いて16S rRNA遺伝子V3-V4領域の塩基配列を解析した。

結果と考察:高齢者舌苔サンプルの次世代シーケンス解析において、誤嚥性肺炎死の高リスク細菌群と健康型の細菌群の割合を比較した。高リスク細菌群であるPrevotella histicola, Veillonella atypica, Streptococcus parasanguinisの割合が高い被験者群において、Neisseria flavescensHaemophilus parainfluenzaなどの健康型の細菌群の割合は低下していた。一方、健康型の細菌群が優位な被験者群では、高リスク細菌群の割合は抑制されていた。以上から、両細菌群は生存において相関していることが示唆された。しかし、全身サルコぺニアと両細菌群の占める割合における関連性は認められなかった。今後は、口腔サルコペニアとの関連性について解析していく予定である。
(大阪歯科大学 倫理審査委員会承認番号:大歯医倫第110965号)