[P一般-095] 高齢者の歯槽骨吸収率と総頸動脈分岐部石灰化との関連
〔目的〕
歯周病は動脈硬化のリスク因子であると報告されているが,頸動脈石灰化と歯周病所見についての報告は我々が知る限り認められない。そこで,本研究ではComputed Tomography(CT)画像から判定される総頸動脈分岐部石灰化の有無とパノラマエックス線画像による歯槽骨吸収の関連について横断的検討を行った。
〔方法〕
本調査は2014年から2018年に松本歯科大学病院を受診した295名に実施した。パノラマエックス線画像より,現在歯数および歯槽骨吸収率を計測し,CT画像所見から頸動脈石灰化群(C群)と頸動脈非石灰化群(NC群)の2群に分け,統計解析を行った。まず,t検定およびカイ2乗検定を行い,頸動脈石灰化の有無と年齢,全身疾患,現在歯数および歯槽骨吸収率との単変量の関連を検討した。次に,有意な関連が認められた因子について多変量解析(変数増加法)を行い,さらに年齢別に65歳以上,65歳未満に分け分析した。
〔結果と考察〕
対象者295名の平均年齢は64.6±11.8(年齢範囲:30~95歳)であった。C群は121名,NC群は174名であり,単変量の関係で頸動脈石灰化有無と有意な関連が認められたのは,年齢,高血圧,骨粗鬆症,現在歯数および歯槽骨吸収率であり,糖尿病との関連は認められなかった。また,多変量解析では,因子調整後においても歯槽骨吸収率は頸動脈石灰化と有意に関連していた(修正オッズ比:1.23,95%信頼区間1.17-1.30,P<0.001)。さらに65歳以上のグループ(修正オッズ比:1.37,95%信頼区間1.23-1.53,P<0.001)および,65歳未満のグループ(修正オッズ比:1.16,95%信頼区間1.09-1.24,P<0.001)においても有意な関連が認められた。また,肥満,飲酒および喫煙は生活習慣病と高い関連が認められる因子であるため分析から除外している。
本結果より,動脈硬化症に起因する心臓血管疾患が多発する年齢の65歳以上で歯槽骨吸収と頸動脈石灰化は関連し,若い年代においても関連する可能性が示唆された。
(松本歯科大学倫理委員会承認番号No.0152. COI開示:なし)
歯周病は動脈硬化のリスク因子であると報告されているが,頸動脈石灰化と歯周病所見についての報告は我々が知る限り認められない。そこで,本研究ではComputed Tomography(CT)画像から判定される総頸動脈分岐部石灰化の有無とパノラマエックス線画像による歯槽骨吸収の関連について横断的検討を行った。
〔方法〕
本調査は2014年から2018年に松本歯科大学病院を受診した295名に実施した。パノラマエックス線画像より,現在歯数および歯槽骨吸収率を計測し,CT画像所見から頸動脈石灰化群(C群)と頸動脈非石灰化群(NC群)の2群に分け,統計解析を行った。まず,t検定およびカイ2乗検定を行い,頸動脈石灰化の有無と年齢,全身疾患,現在歯数および歯槽骨吸収率との単変量の関連を検討した。次に,有意な関連が認められた因子について多変量解析(変数増加法)を行い,さらに年齢別に65歳以上,65歳未満に分け分析した。
〔結果と考察〕
対象者295名の平均年齢は64.6±11.8(年齢範囲:30~95歳)であった。C群は121名,NC群は174名であり,単変量の関係で頸動脈石灰化有無と有意な関連が認められたのは,年齢,高血圧,骨粗鬆症,現在歯数および歯槽骨吸収率であり,糖尿病との関連は認められなかった。また,多変量解析では,因子調整後においても歯槽骨吸収率は頸動脈石灰化と有意に関連していた(修正オッズ比:1.23,95%信頼区間1.17-1.30,P<0.001)。さらに65歳以上のグループ(修正オッズ比:1.37,95%信頼区間1.23-1.53,P<0.001)および,65歳未満のグループ(修正オッズ比:1.16,95%信頼区間1.09-1.24,P<0.001)においても有意な関連が認められた。また,肥満,飲酒および喫煙は生活習慣病と高い関連が認められる因子であるため分析から除外している。
本結果より,動脈硬化症に起因する心臓血管疾患が多発する年齢の65歳以上で歯槽骨吸収と頸動脈石灰化は関連し,若い年代においても関連する可能性が示唆された。
(松本歯科大学倫理委員会承認番号No.0152. COI開示:なし)