[認定P-28] 脳梗塞を発症した高齢患者に対して,入院早期から口腔管理を実施した症例
【目的】
脳卒中は,要支援・要介護の原因となり,高齢者の日常生活に多大な影響を及ぼしている。脳卒中発症後は肺炎を合併しやすく,肺炎を合併した場合は機能的予後の悪化に繋がるとの報告がある。一方で,脳卒中発症早期からの口腔管理は,肺炎予防に有用とされている。今回,脳梗塞を発症した高齢患者に対して,肺炎予防のために入院早期から口腔管理を実施し,口腔環境および食事摂取状況を改善した症例を経験した。なお,本報告の発表は代諾者から文書による同意を得ている。
【症例の概要と処置】
83歳男性,身長147.2 cm,体重52.7 kg(BMI 24.3 kg/m2)。既往歴は脳梗塞,高血圧症, 腰椎圧迫骨折。 2021年8月に左半身の脱力感を生じ,救急搬送となり,脳梗塞と診断された。入院時に左上下肢麻痺,左半側空間無視,軽度嚥下障害の症状があった。入院当日の看護師による口腔評価後,歯科紹介となり、入院3日後に歯科介入した。残存歯は上顎0本,下顎6本で,左下1・2番と右下3番は顕著に動揺し,周囲歯肉から排膿があった。 上顎義歯は容易に脱落し,下顎義歯は残存歯の移動により,装着不可能であった。入院7日目までアルガトロバン水和物の静脈内投与があったため,出血リスクを考慮し,口腔衛生管理を主に実施した。その後,クロピドグレル硫酸塩とアスピリンの経口投与へ移行したため,主治医と相談の上,入院11日後に左下1・2番と右下3番の動揺歯を抜歯した。さらに,入院13日後に下顎義歯を増歯修理し,入院15日後に上下義歯をリラインした。
【結果と考察】
歯科介入前は,均質なペースト食を2~4割摂取していたが,歯科による口腔衛生管理および動揺歯の抜歯後は,8~10割摂取が可能となった。さらに,義歯修理後は,不均質なペースト食の10割摂取が可能となった。入院17日後に,回復期病院へ転院となったため,同病院の協力歯科医院へ継続的な口腔管理を依頼し, 終診とした。 転院後48日時点において,全粥・軟菜を自力摂取し,口腔環境も維持していると報告を得ている。
本症例では,脳梗塞を発症した高齢患者に対して,入院早期から口腔管理を実施したことで,口腔環境および食事摂取状況の改善に繋がった。
(COI開示:なし)(倫理審査対象外)
脳卒中は,要支援・要介護の原因となり,高齢者の日常生活に多大な影響を及ぼしている。脳卒中発症後は肺炎を合併しやすく,肺炎を合併した場合は機能的予後の悪化に繋がるとの報告がある。一方で,脳卒中発症早期からの口腔管理は,肺炎予防に有用とされている。今回,脳梗塞を発症した高齢患者に対して,肺炎予防のために入院早期から口腔管理を実施し,口腔環境および食事摂取状況を改善した症例を経験した。なお,本報告の発表は代諾者から文書による同意を得ている。
【症例の概要と処置】
83歳男性,身長147.2 cm,体重52.7 kg(BMI 24.3 kg/m2)。既往歴は脳梗塞,高血圧症, 腰椎圧迫骨折。 2021年8月に左半身の脱力感を生じ,救急搬送となり,脳梗塞と診断された。入院時に左上下肢麻痺,左半側空間無視,軽度嚥下障害の症状があった。入院当日の看護師による口腔評価後,歯科紹介となり、入院3日後に歯科介入した。残存歯は上顎0本,下顎6本で,左下1・2番と右下3番は顕著に動揺し,周囲歯肉から排膿があった。 上顎義歯は容易に脱落し,下顎義歯は残存歯の移動により,装着不可能であった。入院7日目までアルガトロバン水和物の静脈内投与があったため,出血リスクを考慮し,口腔衛生管理を主に実施した。その後,クロピドグレル硫酸塩とアスピリンの経口投与へ移行したため,主治医と相談の上,入院11日後に左下1・2番と右下3番の動揺歯を抜歯した。さらに,入院13日後に下顎義歯を増歯修理し,入院15日後に上下義歯をリラインした。
【結果と考察】
歯科介入前は,均質なペースト食を2~4割摂取していたが,歯科による口腔衛生管理および動揺歯の抜歯後は,8~10割摂取が可能となった。さらに,義歯修理後は,不均質なペースト食の10割摂取が可能となった。入院17日後に,回復期病院へ転院となったため,同病院の協力歯科医院へ継続的な口腔管理を依頼し, 終診とした。 転院後48日時点において,全粥・軟菜を自力摂取し,口腔環境も維持していると報告を得ている。
本症例では,脳梗塞を発症した高齢患者に対して,入院早期から口腔管理を実施したことで,口腔環境および食事摂取状況の改善に繋がった。
(COI開示:なし)(倫理審査対象外)