The 33rd Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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認定医審査ポスター6

Fri. Jun 10, 2022 3:15 PM - 4:45 PM 認定医審査ポスター6 (りゅーとぴあ 2F スタジオAホワイエ)

[認定P-35] 多職種連携により常食摂取が可能となった症例

○髙橋 育美1、菊谷 武2,3 (1. 日本歯科大学附属病院口腔リハビリテーション科、2. 日本歯科大学口腔リハビリテーション多摩クリニック、3. 日本歯科大学大学院生命歯学研究科臨床口腔機能学)

【目的】
在宅では生活状況によって経口摂取環境は強く影響を受ける。誤嚥性肺炎発症後に入院中の患者に対し摂食嚥下機能療法を行い、自宅退院後も多職種による支援を行ったことで経管栄養から常食の摂取が可能となった症例を経験したので報告する。本症例の発表に際し患者本人の同意を得た。
【症例の概要と処置】
78歳、男性。脳出血の既往あり。2018年に髄膜炎を発症後、誤嚥性肺炎となり経鼻経管栄養管理となった。回復期リハビリテーション病院に訪問し、摂食嚥下機能評価を行った。入院中は嚥下調整食コード4 1/4量の経口摂取を開始していたが、むせが多かった。初診時ADLはBarthel Index 45点、認知機能はMMSE 25点であった。左下7番6番歯のみ欠損していた。全粥摂取時は舌の筋力低下、巧緻性不良に伴う食塊形成能低下を認めた。嚥下内視鏡検査にて嚥下後に咽頭残留を認め、水分との交互嚥下を試みたが残留は除去されなかったため、顎引き嚥下を指導した。藤島摂食・嚥下能力グレードはGr.5一部経口摂取可能と判断した。食形態は嚥下調整食コード2-1相当、水分は中間のとろみ付与が適当であり直接訓練を兼ねた1日1食の経口摂取を指導した。
【経過と考察】
訪問先の言語聴覚士、家族と連携し舌の抵抗訓練および嚥下おでこ体操を指導した。初診+3か月後に経鼻経管栄養を離脱し、自宅退院となった。退院直後から多職種による環境整備を行い、訪問時には看護師、介護支援専門員が同席し、経口摂取状況を共有した。かかりつけ歯科医院に訪問歯科診療にて義歯製作を依頼した。初診+7か月後には常食の摂取が可能となり、体重は約4㎏増加した。気分の落ち込みにより食事量が減少した時期には、一時的に食形態を変更し負担の軽減を図った。初診+2年後には体重は初診時から約10㎏増加し、BMIは20となった。訓練頻度が増加したほか、散歩や階段昇降などの運動タスクを設け、表に記録することでモチベーショ ンの維持を図った。食事摂取や全身状態が安定し、本人の希望もあったため初診+3年後に終診となった。
入院時から介入したことにより、在宅復帰後迅速な対応が可能であった。段階的にレベルアップを図れたことが、安全な経口摂取に繋がったと考えた。多職種が介入することで本人のモチベーションを維持に繋がったことが摂食嚥下機能の改善要因であると考える。
COI開示:なし(倫理審査対象外)