[P4-06] 一介護医療院における口腔内薬剤耐性菌の保菌調査
【目的】
要介護高齢者から分離された薬剤耐性菌を調査し,その臨床的特徴を明らかにすること。
【方法】
広島県内の某介護医療院を半年以上利用している65歳以上で要介護4もしくは5の者のうち,体調が安定しており,主治医と病棟看護師長により調査に協力可能と判断されたものを対象とした。なお,抗菌剤を過去90日以内に2回以上投与されている者は除外した。
これらの要介護高齢者に対し,舌・頬粘膜・口蓋・歯肉・歯面および口腔底を綿棒で拭った後,同試料を薬剤耐性菌選択培地へ撒き,発育したコロニーを調査対象とした。シングルコロニー化した菌株の薬剤感受性試験を実施した。また,歯科医師1名が口腔内診査を行い,残存歯数,Oral Health Assessment Tool (OHAT) の評価を行った。年齢,性別,Barthel Index,基礎疾患(脳血管疾患,心疾患,認知症),経口摂食状況(経口,非経口)の臨床情報はカルテから収集した。
【結果と考察】
保菌調査が実施できた者は57名(男性7名,女性50名,87.5±7.8歳)であった。このうち29名(50.9%)(男性5名、女性24名,86.2歳)に薬剤耐性菌選択培地で生育する菌が検出された。
単変量解析では,口腔内に耐性菌を保菌する者とOHATならびに非経口摂取との間に有意な関係があった(p< 0.05)。さらに,p< 0.10となった項目を用いてロジスティック回帰分析を行った結果,口腔内に耐性菌を保菌する者と有意な関係があったものは非経口摂取のみであった(p< 0.05)。
以上より,長期療養する介護医療院の利用者において口腔内に耐性菌を保有している者が存在しており,非経口摂取が耐性菌保菌のリスクとなることが明らかとなった。わが国における介護療養病床における薬剤耐性菌の動向はまだ不明な点も多く,さらなる大規模調査が必要と考える。
(COI開示:なし)
(広島大学疫学研究倫理審査委員会承認番号 第E-1740号)
要介護高齢者から分離された薬剤耐性菌を調査し,その臨床的特徴を明らかにすること。
【方法】
広島県内の某介護医療院を半年以上利用している65歳以上で要介護4もしくは5の者のうち,体調が安定しており,主治医と病棟看護師長により調査に協力可能と判断されたものを対象とした。なお,抗菌剤を過去90日以内に2回以上投与されている者は除外した。
これらの要介護高齢者に対し,舌・頬粘膜・口蓋・歯肉・歯面および口腔底を綿棒で拭った後,同試料を薬剤耐性菌選択培地へ撒き,発育したコロニーを調査対象とした。シングルコロニー化した菌株の薬剤感受性試験を実施した。また,歯科医師1名が口腔内診査を行い,残存歯数,Oral Health Assessment Tool (OHAT) の評価を行った。年齢,性別,Barthel Index,基礎疾患(脳血管疾患,心疾患,認知症),経口摂食状況(経口,非経口)の臨床情報はカルテから収集した。
【結果と考察】
保菌調査が実施できた者は57名(男性7名,女性50名,87.5±7.8歳)であった。このうち29名(50.9%)(男性5名、女性24名,86.2歳)に薬剤耐性菌選択培地で生育する菌が検出された。
単変量解析では,口腔内に耐性菌を保菌する者とOHATならびに非経口摂取との間に有意な関係があった(p< 0.05)。さらに,p< 0.10となった項目を用いてロジスティック回帰分析を行った結果,口腔内に耐性菌を保菌する者と有意な関係があったものは非経口摂取のみであった(p< 0.05)。
以上より,長期療養する介護医療院の利用者において口腔内に耐性菌を保有している者が存在しており,非経口摂取が耐性菌保菌のリスクとなることが明らかとなった。わが国における介護療養病床における薬剤耐性菌の動向はまだ不明な点も多く,さらなる大規模調査が必要と考える。
(COI開示:なし)
(広島大学疫学研究倫理審査委員会承認番号 第E-1740号)