一般社団法人日本老年歯科医学会 第33回学術大会

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ポスター発表4 実態調査

[P4-11] 特別養護老人ホーム入所者における食事の自立に関する要因の検討

○鈴木 史彦、北條 健太郎、渡邉 聡、渡部 議之、鈴木 海路 (奥羽大学歯学部付属病院地域医療支援歯科)

【目的】
特別養護老人ホーム入所者における食事の自立に関する要因を知るために,口腔内情報を含めて調査したので報告する。
【方法】
福島県郡山市内の特別養護老人ホーム3施設に入所している要介護高齢者のうち,経管栄養の者を除外した196名を調査対象とした。診療録から年齢,性別,脳血管疾患および認知症の有無,要介護度,現在歯数,可撤式補綴物を除外した臼歯部の咬合(両側,片側,無し)について調査した。検定はカイ2乗検定ならびにStudentのt検定を用いた。単変量解析で有意差が認められた項目を独立変数として,食事の自立の有無を従属変数とした二項ロジスティック回帰分析を実施した。
【結果と考察】
食事自立群159名の平均年齢(標準偏差)は85.8(7.7)歳であり,食事介助群37名の85.1(8.6)歳と比較して有意差は見られなかった。2群間(食事自立群vs食事介助群)の比較においては,食事自立群は脳血管疾患の割合(82名(41.8%) vs 22名(59.5%),p = 0.025),要介護度(平均3.8 vs 4.4,p < 0.001),および臼歯部の咬合が無い者の割合(32名(20.1%) vs 12名(32.4%),p = 0.009)は,食事介助群よりもそれぞれ有意に低かった。二項ロジスティック回帰分析では,要介護度(p <0.001, OR:0.625, 95%CI: 0.537, 0.726)と臼歯部の咬合(p = 0.043, OR: 1.517, 95%CI: 1.013, 2.273)が有意な独立変数であった。以上の結果から,食事の自立には介護予防に加えて, 臼歯部の咬合を維持する必要性が示唆された。
(COI開示:なし)
(奥羽大学倫理審査委員会承認番号 326)