一般社団法人日本老年歯科医学会 第33回学術大会

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ポスター発表4 実態調査

[P4-13] 松本歯科大学病院における有床義歯咀嚼機能検査の実施状況

○冨士 岳志、望月 慎恭、蓜島 弘之 (松本歯科大学地域連携歯科学講座)

【目的】
 有床義歯咀嚼機能検査は平成28年に保険収載され,松本歯科大学病院でも平成29年5月から運用を開始した。 今回,過去5年間の本検査の運用状況を把握し,今後の課題を検討することを目的とした。
【方法】
 平成29年5月から令和3年12月までに, 当院にて有床義歯咀嚼機能検査(以下:検査)を実施した患者について, 性別,年齢,習慣性咀嚼側,症例の内容,グミ摂取経験の有無,有床義歯装着後(以下;術後)の検査の実施状況を調査した。年齢は,義歯装着前(以下;術前)の検査日の実年齢を,習慣性咀嚼側は患者本人の自己申告またはグミ自由咀嚼により確認した。症例の内容の内訳は,1)上下顎全部床義歯,2)片顎全部床義歯,3)片顎全部床義歯+片顎部分床義歯,4)片顎部分床義歯,5)上下顎部分床義歯に分類した。術後の実施状況は,実施の有無および術後実施の1人当たりの回数を調査した。なお今回は,咬合力検査を含む有床義歯咀嚼機能検査は対象外とした。
【結果と考察】
 対象者は73名で,平均年齢は73.0±7.2歳であった。習慣性咀嚼側は右側:左側=35:38で我々の報告1)と同様の傾向を示したが,男女比は36:37とほぼ同じで女性の割合が増加していた。本検査実施に先立ちグミ咀嚼経験が無い患者は57.5%であり,我々のこれまでの報告よりさらに減少した1)。その理由として,症例の内訳では少なくとも片顎に全部床義歯を装着している患者の割合は低く,適用症例の拡充に伴い部分床義歯を装着している患者が増加したことも考えられた。術後検査を行ったのは61名であり、1人あたりの術後の検査回数は平均1.51回であり,術後1回の検査にとどまるケースが最も多かった。未実施の患者は,通院中の1名を除き装着後に通院が途絶えていた。以上より,本検査は有床義歯の咀嚼機能を客観的に評価しうる簡便な方法として徐々に増加し適応も拡充しているが,今後の課題として,術後検査の複数回実施による咀嚼機能の経時的観察などが考えられた。
1)冨士岳志,羽鳥弘毅,平良勝将,平岡敬太,米田紘一,鍵谷真吾,岡﨑耕典,倉澤郁文,中本哲自。松本歯科大学病院における有床義歯咀嚼機能検査の現状。第128回日本補綴歯科学会東海支部学術大会抄録集 2019

(COI開示:なし)
(松本歯科大学研究等倫理審査委員会,承認番号:第0296号)