[P8-03] 入院中から在宅にかけて口腔健康管理を継続し食支援を行った症例
【目的】
要介護高齢者の医療の特徴は,医療と介護の一体化と,場所の移動である。そのため歯科医療も多職種と協働し,シームレスに対応しなくてはいけない。本症例では,入院中から在宅にかけて,歯科衛生士による口腔健康管理を継続し,摂食嚥下障害の評価と食支援を切れ目なく行ったことで,摂食嚥下機能の維持,改善することができたので報告する。
【症例の概要と処置】
93歳,男性。気管支肺炎,レビー小体型認知症,心不全の既往あり。2021年5月肺炎,血圧低下のため入院中, 下顎義歯破損を主訴に訪問診療の依頼があった。下顎義歯は修理困難,上顎義歯も不適合であったため,上下全部床義歯作製することとし,入院中から歯科衛生士による口腔ケア介入を開始した。その後自宅へ退院となり, 家族から「水分により時折むせる」と訴えがあったため,嚥下内視鏡検査(以下:VE)を施行した。VEの結果, 唾液の貯溜ならびに誤嚥を認め,水分には段階1のとろみを付与することとし,歯科医師の指示のもと歯科衛生士が家族とケアマネージャーにとろみの程度や付与の方法を指導した。新義歯完成後,VEにて再評価を行ったところ,舌機能の低下が著しく,義歯口蓋形態の不調和を認めたため,上顎義歯に舌接触補助床(以下:PAP)形態を付与した。義歯調整と,歯科衛生士による口腔ケアと口腔のマッサージを継続して実施し,上下義歯使用しての食事が可能になった。しかし3ヶ月後,口腔ケア介入時,義歯に多量の食渣が確認され,むせも頻繁にみられるようになったため,再度VEを実施した。その結果前回に比べ,嚥下反射の著しい惹起遅延と咽頭残留物の誤嚥を認め,薬剤による覚醒不良の可能性が示唆された。主治医に内服薬調整を依頼し, 覚醒状態は改善した。家族より「むせが少なくなった」と報告があったが,臨床的には不顕性誤嚥の可能性があり,歯科衛生士による口腔健康管理を継続している。
尚,本報告の発表について患者代諾者より文書による同意を得ている。
【結果と考察】
本症例では,入院中から退院後の在宅まで,訪問歯科診療と歯科衛生士による口腔ケアならびに機能訓練を行い,シームレスな口腔健康管理が提供できた。さらに歯科衛生士が継続的に介入することで,疾患の進行による誤嚥のリスクを早期発見し,患者の摂食嚥下機能を維持できていると考える。
(COI開示なし)(倫理審査対象外)
要介護高齢者の医療の特徴は,医療と介護の一体化と,場所の移動である。そのため歯科医療も多職種と協働し,シームレスに対応しなくてはいけない。本症例では,入院中から在宅にかけて,歯科衛生士による口腔健康管理を継続し,摂食嚥下障害の評価と食支援を切れ目なく行ったことで,摂食嚥下機能の維持,改善することができたので報告する。
【症例の概要と処置】
93歳,男性。気管支肺炎,レビー小体型認知症,心不全の既往あり。2021年5月肺炎,血圧低下のため入院中, 下顎義歯破損を主訴に訪問診療の依頼があった。下顎義歯は修理困難,上顎義歯も不適合であったため,上下全部床義歯作製することとし,入院中から歯科衛生士による口腔ケア介入を開始した。その後自宅へ退院となり, 家族から「水分により時折むせる」と訴えがあったため,嚥下内視鏡検査(以下:VE)を施行した。VEの結果, 唾液の貯溜ならびに誤嚥を認め,水分には段階1のとろみを付与することとし,歯科医師の指示のもと歯科衛生士が家族とケアマネージャーにとろみの程度や付与の方法を指導した。新義歯完成後,VEにて再評価を行ったところ,舌機能の低下が著しく,義歯口蓋形態の不調和を認めたため,上顎義歯に舌接触補助床(以下:PAP)形態を付与した。義歯調整と,歯科衛生士による口腔ケアと口腔のマッサージを継続して実施し,上下義歯使用しての食事が可能になった。しかし3ヶ月後,口腔ケア介入時,義歯に多量の食渣が確認され,むせも頻繁にみられるようになったため,再度VEを実施した。その結果前回に比べ,嚥下反射の著しい惹起遅延と咽頭残留物の誤嚥を認め,薬剤による覚醒不良の可能性が示唆された。主治医に内服薬調整を依頼し, 覚醒状態は改善した。家族より「むせが少なくなった」と報告があったが,臨床的には不顕性誤嚥の可能性があり,歯科衛生士による口腔健康管理を継続している。
尚,本報告の発表について患者代諾者より文書による同意を得ている。
【結果と考察】
本症例では,入院中から退院後の在宅まで,訪問歯科診療と歯科衛生士による口腔ケアならびに機能訓練を行い,シームレスな口腔健康管理が提供できた。さらに歯科衛生士が継続的に介入することで,疾患の進行による誤嚥のリスクを早期発見し,患者の摂食嚥下機能を維持できていると考える。
(COI開示なし)(倫理審査対象外)