一般社団法人日本老年歯科医学会 第35回学術大会

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実態調査-2(質疑応答)

2024年6月29日(土) 14:20 〜 15:20 ポスター会場 (大ホールC)

[P-61] 日之出歯科真駒内診療所における過去30年間の高齢者に対する静脈内鎮静法症例の臨床統計的検討

○詫間 滋1、今渡 隆成1、飯田 彰1、大岩 大祐1、小野 智史1 (1. 医療法人仁友会 日之出歯科真駒内診療所)

【目的】
 静脈内鎮静法は,歯科治療時において侵襲の大きい処置のストレスを緩和し,歯科治療恐怖症や異常絞扼反射を有する患者が安全・快適に治療を受ける際にも有用な管理手段となる.さらに,高齢患者においては,歯科治療時の併存疾患の増悪防止や,治療に対する協力性が低い場合の行動調整という面でも有効である.当診療所では,開設時より高齢者に対しても静脈内鎮静法を必要に応じて積極的に適用しているが,開設後30年が経過し,その間の当該症例の経年的推移を把握することを目的に臨床統計的検討を行った.
【方法】
 1994年1月から2023年12月までの麻酔管理台帳・麻酔記録および診療録をもとに,静脈内鎮静法管理下に歯科治療を行った75歳以上の高齢者(後期高齢者)を対象として,症例数および静脈内鎮静法症例数全体に占める割合,年齢,性別,併存疾患,処置内容,麻酔時間を調査し,経年的推移について検討した.
【結果と考察】
 高齢者に対する静脈内鎮静法症例数は,診療所開設当初から経年的に大幅な増加傾向を示し,静脈内鎮静法症例数全体に占める割合も増加傾向であった.さらに,90歳以上の超高齢者に対する静脈内鎮静法症例の割合も明らかな増加傾向にあった.併存疾患については認知症の割合が顕著な増加傾向にあり,本邦の認知症有病率の推移を反映しているものと考えられた.処置内容は外科処置主体から,保存・補綴処置の占める割合が増加する傾向にあり,それに伴い麻酔時間は長くなる傾向を示した.高齢者における現在歯数の増加を背景に,より複雑な歯科治療へのニーズが経年的に増加していることが推察され,また安全・快適な歯科治療への社会的要請の高まりも相まって,今後も高齢者に対する静脈内鎮静法の需要はさらに増大することが予想された.

(COI開示:なし)
(医療法人仁友会 倫理審査委員会 承認番号 24-2)