[交流7-2] 院内トリアージシステムによって適切な医療資源を割り当てることができているかの検討
【はじめに】平成24年4月より、Japanese Triage and Acuity Scale;JTAS)を用いて院内トリアージを開始した。JTASでは、院内トリアージとは、診察前の患者の状態を評価し、緊急度・重症度を見極め、治療の優先性を判断することであり、目的を1)現在の症状を評価し緊急度を決定する、2)患者を緊急度判定のカテゴリーに当てはめる、3)適切な治療を受けるまでの過程を決定する、4)効果的・効率的に業務を遂行するために、適切な人的医療資源を割り当てることとしている。当施設では、院内トリアージ開始当初、JTASで示す目的1)から3)について、実践できているかということを評価し取り組んできた。は、目的4)について検証しようと取り組んでいる。今回、当施設のこれまでのトリアージの実施状況を示しながら、目的4)を達成するための取り組みと、現段階での当施設で課題として捉えていることについて報告する。【当施設院内トリアージ実施の背景】1. 山形県の可住地面積100km2当対医師数は、85.2人(全国43位、平成26年)、人口10万対医療施設従事医師数は、219.5人(全国34位、平成28年)と、それぞれ全国平均230人、240.1人を大きく下回る。2. 山形県立救命救急センターは、ER型で、診察室数は、重症患者対応ベッド2床、中等症患者対応ベッド2床、Walk in患者対応診察室6床である。年間受診者数は、約14,000人(平成26年度)。看護師は23名(トリアージナース14名)、三交代勤務で対応している。【適切な医療資源を割り当てることができているかに関する取り組み】当施設のトリアージシステムは、電話トリアージ、受付職員によるトリアージ、トリアージナースによる院内トリアージの3つの構造を持っている。それぞれの段階で、緊急度の評価に基づき、適切な医療資源を割り当てることができるよう取り組んでいる。この間システム改善の対策として、JTASレベル2の患者が、トリアージ終了後15分以内に診療が開始されることが増加するよう、トリアージ終了からの経過時間を共有する仕組みの構築や、遅出勤務(12:15~21:00)の導入による救急室煩雑時間のスタッフ増員、救急室の滞在時間短縮を図った入院病棟への働きかけと、ベッドコントロール専任師長を配置するなど対策を講じてきた。しかし、それら対策の効果を検証しようとすると、記録やデータの収集方法の問題により、容易ではないという状況であった。【当施設で院内トリアージに関する課題】推奨されるトリアージプロセス順守性に関するものとして、トリアージ実施率が改善してきているものの全患者に実施できていないことと、再トリアージの実施率が向上しないこと、また、適切な医療資源を割り当てることができているかについては、実態を容易に可視化できないことと捉えている。【まとめ】実施している取り組みや支援を評価し可視化するための、記録やデータ収集方法の見直しが急務である。