The 15th Annual Meeting of Japan Academy of Critical Care Nursing

Presentation information

Oral presentation

[O2] 精神ケア・家族ケア

Sat. Jun 15, 2019 2:20 PM - 3:30 PM 第3会場 (3F 小会議室31)

座長:藤本 理恵(山口大学医学部附属病院)

2:40 PM - 2:50 PM

[O2-3] O2-3

○長澤 静代1 (1. 相模原協同病院看護部)

Keywords:救急外来、精神疾患合併患者、困難感

【背景】
 二次救急病院では内因性の身体症状を主訴に搬送される患者が主であるが、その中には精神疾患を合併する患者やメンタルヘルスの不調が要因となっている患者も含まれる。多くの二次救急医療機関では精神科医が常駐していることが少なく、すぐに対応するのが困難な状況にある。A病院も精神科病棟をもたない二次救急病院である、身体症状を訴える精神疾患患者やメンタルヘルスの不調が要因と考えられる患者の受け入れを行っているが、対応に戸惑うことも多い。そこで、このような患者への対応の方向性を見出したいと考え、研究に取り組んだ。
【目的】
 B市内の救急外来看護師が精神疾患合併患者およびメンタルヘルス不調の患者の対応時に抱く困難感を明らかにする
【用語の定義】
 精神疾患合併患者:認知症、急性アルコール中毒を除く精神疾患を合併する患者 メンタルヘルス不調患者:精神面での不調が要因となり身体症状を訴える患者
【方法】
 期間:2018年12月から2019年1月 
 対象:救急外来が経験1年以上の看護師 
 方法:①同意が得られた対象者に対しインタビューガイドにそって半構造化面接を行った②インタビュー内容をコード化し、内容を質的帰納的に分析を行った
【倫理的配慮】
 対象者に対し書面と口頭で研究の主旨と目的、参加・不参加の自由、個人情報の保護を説明し同意を得た。不参加や途中中止の際も不利益は一切生じないことを保障した。得られたデータは研修者のみで取り扱い、本研究以外で使用しないようにした。本研究は、所属施設の看護研究倫理審査委員会の承認を得た実施した。
【結果】
 研究参加者5名で全員女性であった。看護経験年数は9~26年、救急外来経験は2~5年であった。精神疾患合併患者対応時の困難感は<どう対応してよいかわからない><苦手><時間をかけて関われない>など【患者対応への自信のなさ】があり、<薬物の適切な使用方法がわからない>という【精神科医不在による不安】でがあった。<不定愁訴という思い込み>など【先入観による見落とし】、<直接専門医につなげない><またすぐ搬送されるのではないか>と【帰宅後のフォローができない】ことへの危惧があった。また【過去の辛い体験】では<看護師に対するフォローのなさ>がさらなる苦手意識を生じさせていた。
【考察】
 救急外来看護師は精神疾患とその看護に関する知識が不足していることで対応に自信が持てずにいた。そして、他の業務を行いながら対応することで、じっくり患者とかかわることができないジレンマも感じていた。さらに精神面が問題だという先入観をもつと身体疾患を見落としたり、悪化させてしまう危険があるとも感じていた。また、身体症状は落ち着いても精神面の問題は解決していないため、不安が残るまま帰宅させなくてはならいことへのもどかしさを感じていた。さらに、過去の関わった患者の死という体験が苦手意識を助長させたり、対応した看護師へのフォローがなく長く苦しんでいることも明らかになった。
【結論】
・救急外来看護師が感じる困難感は、精神疾患合併患者対応への自信のなさや精神科医不在による不安であった
・ 精神的問題が解決しないまま帰宅する患者へのフォロー体制の検討が必要である
・ 患者に対応する看護師への精神面の支援の必要性が示唆された