15:00 〜 15:10
[O2-5] 救急外来における終末期看護 自動心臓マッサージ機により生じた皮膚障害を通して
キーワード:終末期看護、ルーカス、皮膚障害、家族ケア
【はじめに】
当救命救急センターは来院患者の12.35%が3次救急患者であり、患者・家族にとっても危機的状況が非常に強く終末期医療が予測される患者が来院する。
当施設では心肺停止患者に対し自動心臓マッサージ機システム(以下ルーカス)を導入している。ルーカスは1)『胸骨圧迫中断時間調査において、用手群では胸骨圧迫時間比73%、ルーカス群では92%』と、ルーカス群使用での胸骨圧迫中断時間が短いことを示し、高い冠灌流圧を維持していることが報告されている。限られた人材の中でも人員の確保・治療や看護実践に専念することができ、蘇生処置の質を保つことができる大きな医療材料となっている。しかし、ルーカス導入により患者は皮膚障害を生じている現状がある。皮膚障害はルーカス使用上の副作用で明記されているが、副作用対策は各施設に任されている現状にあり救命に至ることができない患者の皮膚の治癒再生は困難であるため、皮膚障害を起こさない予防的処置が必要である。また、生じた皮膚障害へのケア介入と悲嘆にある患者家族に対するケア介入も必要である。突然死や外傷による急性疾患により患者家族の予期悲嘆を十分に支援するだけの時間を持つことができず、家族が死別した患者の皮膚障害を認識した際に悲嘆を助長する可能性があり、その対応は救急看護師個人に任されている現状がある。ルーカスによる皮膚障害対策の研究は確認されたが、皮膚障害を生じた際のケア介入に関する研究は確認できなかった。このことから当施設のルーカス使用による皮膚障害の現状調査を行った。また、救急看護師の皮膚障害のケア介入と家族へのかかわりについて、調査期間前後でアンケート調査を行った。
【目的】ルーカスを用いたCPRに伴う皮膚障害と看護の現状を明らかにする。
【倫理的配慮】当院看護研究実施許可申請書に基づき個人が特定されないように配慮した。
【研究方法】
研究対象:救命センター看護師29名。調査期間中に来院した心肺停止患者57名。
調査期間:2018年12月6日〜2019年1月25日。
調査方法:救命センター看護師29名に対し、ルーカス使用による皮膚障害に対する患者家族のケア介入についてアンケート調査を実施。患者の皮膚障害の現状とアンケート結果を基に救急看護師と学習会を実施した。
【結果および考察】
ルーカス使用により皮膚障害を経験した看護師は79%であった。そのうちケア介入をした看護師は41%、皮膚障害に関して自身の心理的変化はある看護師は86%であった。ケアの方法がわからないためにケア介入がされていないことが読み取れた。そこでルーカスの使用方法の勉強会を開催し、ルーカスによって生じた皮膚障害を話す場を設けたことで、学習会後のCPRに伴う皮膚障害に対し意識を高く持っているが学習会前10%、学習会後89%、ケア介入は学習会後74%と大きく変化している。
ルーカスによって生じた皮膚障害は、救急看護師へも心理的変化を及ぼしており、このことから死別となる家族が皮膚障害を認識した際に、悲嘆のプロセスにある感情に影響を及ぼす可能性があると考える。広瀬は2)『死後の患者ケアは家族ケアである』と述べている。統一された皮膚障害のケア方法をみいだすだけではなく、死別となる患者状態、背景、悲嘆過程を見据え、皮膚障害に対するケアの提供・支援をしていくことが必要であると考える。
当救命救急センターは来院患者の12.35%が3次救急患者であり、患者・家族にとっても危機的状況が非常に強く終末期医療が予測される患者が来院する。
当施設では心肺停止患者に対し自動心臓マッサージ機システム(以下ルーカス)を導入している。ルーカスは1)『胸骨圧迫中断時間調査において、用手群では胸骨圧迫時間比73%、ルーカス群では92%』と、ルーカス群使用での胸骨圧迫中断時間が短いことを示し、高い冠灌流圧を維持していることが報告されている。限られた人材の中でも人員の確保・治療や看護実践に専念することができ、蘇生処置の質を保つことができる大きな医療材料となっている。しかし、ルーカス導入により患者は皮膚障害を生じている現状がある。皮膚障害はルーカス使用上の副作用で明記されているが、副作用対策は各施設に任されている現状にあり救命に至ることができない患者の皮膚の治癒再生は困難であるため、皮膚障害を起こさない予防的処置が必要である。また、生じた皮膚障害へのケア介入と悲嘆にある患者家族に対するケア介入も必要である。突然死や外傷による急性疾患により患者家族の予期悲嘆を十分に支援するだけの時間を持つことができず、家族が死別した患者の皮膚障害を認識した際に悲嘆を助長する可能性があり、その対応は救急看護師個人に任されている現状がある。ルーカスによる皮膚障害対策の研究は確認されたが、皮膚障害を生じた際のケア介入に関する研究は確認できなかった。このことから当施設のルーカス使用による皮膚障害の現状調査を行った。また、救急看護師の皮膚障害のケア介入と家族へのかかわりについて、調査期間前後でアンケート調査を行った。
【目的】ルーカスを用いたCPRに伴う皮膚障害と看護の現状を明らかにする。
【倫理的配慮】当院看護研究実施許可申請書に基づき個人が特定されないように配慮した。
【研究方法】
研究対象:救命センター看護師29名。調査期間中に来院した心肺停止患者57名。
調査期間:2018年12月6日〜2019年1月25日。
調査方法:救命センター看護師29名に対し、ルーカス使用による皮膚障害に対する患者家族のケア介入についてアンケート調査を実施。患者の皮膚障害の現状とアンケート結果を基に救急看護師と学習会を実施した。
【結果および考察】
ルーカス使用により皮膚障害を経験した看護師は79%であった。そのうちケア介入をした看護師は41%、皮膚障害に関して自身の心理的変化はある看護師は86%であった。ケアの方法がわからないためにケア介入がされていないことが読み取れた。そこでルーカスの使用方法の勉強会を開催し、ルーカスによって生じた皮膚障害を話す場を設けたことで、学習会後のCPRに伴う皮膚障害に対し意識を高く持っているが学習会前10%、学習会後89%、ケア介入は学習会後74%と大きく変化している。
ルーカスによって生じた皮膚障害は、救急看護師へも心理的変化を及ぼしており、このことから死別となる家族が皮膚障害を認識した際に、悲嘆のプロセスにある感情に影響を及ぼす可能性があると考える。広瀬は2)『死後の患者ケアは家族ケアである』と述べている。統一された皮膚障害のケア方法をみいだすだけではなく、死別となる患者状態、背景、悲嘆過程を見据え、皮膚障害に対するケアの提供・支援をしていくことが必要であると考える。