The 15th Annual Meeting of Japan Academy of Critical Care Nursing

Presentation information

Oral presentation

[O5] 鎮痛・鎮静・せん妄1

Sat. Jun 15, 2019 3:40 PM - 4:40 PM 第3会場 (3F 小会議室31)

座長:神田 直樹(北海道医療大学)

4:00 PM - 4:10 PM

[O5-3] O5-3

○嶋岡 征宏1、山勢 博彰2、田戸 朝美2 (1. 山口大学医学部附属病院 、2. 山口大学大学院医学系研究科)

Keywords:睡眠評価、睡眠、ICU、客観的評価、主観的評価

【目的】
 ICUにおける睡眠評価方法は確立していないため、睡眠評価にばらつきがあることに加え、多角的視点から正確な睡眠評価が行えていない現状がある。本研究の目的は、簡便かつ適切にICU患者の睡眠評価が行えるICU睡眠評価尺度を作成することである。
【方法】
 ICU睡眠評価尺度:使用したICU睡眠評価尺度は3段階評定尺度で、看護師が客観的に11の観察項目から睡眠を評価できる睡眠観察シートと、患者が主観的に7項目から睡眠を評価できる睡眠自己評価シートから構成されている。尺度は、ICU看護師を対象とした調査で、内容妥当性、表面妥当性、評価者の安定性と等価性を検証済みである。
 データ収集期間:2017年11月~2018年4月。
 対象者:2日間以上ICUに入院した、GCSが14点以上(Vは5点)の患者20名。
 データ収集方法:患者の担当看護師により夜間の睡眠状況を睡眠観察シートで評価した。患者には脳波計を装着し、起床時に自己評価シートで評価してもらった。患者の基本情報と脳波計による睡眠変数(睡眠効率:総睡眠時間/就床時間、総睡眠時間、中途覚醒時間、入眠潜時、NREM睡眠時間(N1+N2+N3)、Wake、N1、N2、N3、REM)を収集した。
 分析方法:基準関連妥当性に関しては、尺度総合点と睡眠変数間の相関分析を行った。内的一貫性に関しては、Cronbachのαを算出した。項目の検討に関しては、Item-Total相関分析、尺度項目間の相関分析、尺度項目と睡眠変数間の相関分析をした。
【倫理的配慮】院内の研究倫理審査委員会の承認を受け、対象患者への説明と同意後に実施した。
【結果】
 対象患者のAPACHEⅡスコアは10.3±5.21、入院日数は4.3±3.3日であった。
 観察シートのCronbachのαは0.71であった。観察シートの総合点と睡眠の量的な概念である睡眠効率、総睡眠時間との相関は、r=.309~.313であり、やや相関を認めた。睡眠の質的な概念であるN1との相関は、r=-.314であり、やや相関を認めた。特にREMとの相関は、r=.484(p<0.05)であり、かなりの相関を認めた。睡眠の量と質的な概念である睡眠効率+REMとの相関は、r=.455(p<0.05)であり、かなりの相関を認めた。
 自己評価シートのCronbachのαは0.72であった。自己評価シートの総合点と睡眠の量的な概念である総睡眠時間、中途覚醒時間、入眠潜時との相関は、r=-.399~.312であり、やや相関を認めた。特に睡眠効率との相関は、r=.458(p<0.05)であり、かなりの相関を認めた。睡眠の質的な概念であるNREM睡眠時間、W、N2、REMとの相関は、r=-.262~.336であり、やや相関を認めた。特にN1との相関は、r=-.456(p<0.05)、N3との相関は、r=.422(p<0.05)であり、かなりの相関を認めた。睡眠の量と質的な概念である睡眠効率+REMとの相関は、r=.352であり、やや相関を認めた。また、観察シートの総合点と、自己評価シートの総合点間の相関は、r=.486(p<0.05)であり、かなりの相関を認めた。
【考察】
 完成したICU睡眠評価尺度は、睡眠変数に対して基準関連妥当性があり、内的一貫性も良好であると考えられた。2つのシートを併用することで、睡眠の量と質的な概念を相互補完的に多角的視点から適切に評価できると考えられる。観察シートに関しては、患者の主観的な睡眠を反映できる可能性があり、自己評価ができない患者の睡眠評価を代替えで行うことができる可能性がある。