[P4-3] 重症患者家族支援チームの立ち上げと課題
Keywords:家族支援、終末期医療、チーム医療
目的:救急・集中治療領域へ緊急入院となる患者は重症者が多く、同時にその家族も危機的状況に陥っている。患者を受け入れるICU等では、重症患者の治療・ケアと共に家族への支援も必要とされるが、組織的な家族支援体制がある施設はほとんどなく、現場の医師や看護師などの個人的な努力で補っていることが多い。一方で家族が、当該部署の職員に率直な思いや治療などに対する不安などを伝えることをためらい、家族と医療従事者との見解の相違が生じることもある。このような状況を避けるために、直接、診療にかかわらない職員が、中立的な立場で家族を支援していくことが必要と考え、入院時から家族の思いや病状の理解度を確認しながら、医療チームで情報を共有する、「重症患者家族支援チーム」(以下支援チーム)を立ち上げた。
方法:支援チームは急性重症患者看護専門看護師、精神看護専門看護師、ソーシャルワーカーで構成した。救急ICU・CCU(以下EICU・CCU)を対象に、入室直後から家族支援を行った。介入対象は、EICU・CCU入室中でGCS5点以下、もしくはEICU・CCUのスタッフから介入依頼があった患者家族とした。介入は可能な限り、専門看護師とソーシャルワーカーの二名で行い、家族と支援チームの安全空間を作ることを第一に介入を行った。介入は、家族の心理状態に合わせて、現在の不安、病状の理解度、医療チームに期待すること、患者の価値観、家族背景等について語っていただき、その都度、不安や疑問が解消されるよう支援した。支援チームが得た情報は部署の職員と共有した。必要時は治療方針決定の場に『家族の支援者』として立ち会い、医療者からの説明後に家族の気持ちの確認などを行い、意思決定支援を行った。なお本発表において、調査協力の諾否によって対象者が不利益を被らないことを説明した。
結果:2019年12月中旬から活動を開始し、介入のべ件数は55件、30家族に介入した。介入した家族からは、経済的な不安、現在の病状への不安、意思決定への迷いなどが聞かれたが、その都度介入を行い、不安が解消した等の言葉が聞かれた。また、家族から直接、介入依頼があった症例は3件で、それぞれ①医療従事者の説明に対しての不満、②スタッフの対応についての不満、③自身の精神的症状についてであった。支援チームが家族と面談を行い、そこで得た情報を医療チームと共有した。その結果、①の症例では、医療従事者と家族の間での病状理解の違いが明らかになり、家族の思いや疑問を解消しながら意思決定支援が行われた。②の症例では、対象となったスタッフと部署へのフィードバックを行い、面会で得た家族の心理的状況を考慮したうえでの必要なケアを助言し、結果的にはご家族から満足度の高い終末期を迎えられたという言葉が聞けた。③の症例では、危機的状況であった家族の心理状態をアセスメントしながら面談した結果、ご家族からこの面談を契機に、自分らしさを取り戻すことができたという言葉が聞けた。また部署からも、家族支援チームの活動によって、家族の真意を把握しやすくなり、家族ケアや意思決定支援への困難感が軽減したという言葉が聞かれた。
考察:急性期における家族支援について重要性は多くの文献で述べられているが、支援者の立場について明記されているものはない。今回、家族支援チームが中立的立場で家族を支援したことが、家族が率直に思いを語ってくれる場を生み出したと考えられた。しかし、このような支援チームは日本においてもまだ存在していないため、今後は支援チームの介入評価測定が課題と考える。
方法:支援チームは急性重症患者看護専門看護師、精神看護専門看護師、ソーシャルワーカーで構成した。救急ICU・CCU(以下EICU・CCU)を対象に、入室直後から家族支援を行った。介入対象は、EICU・CCU入室中でGCS5点以下、もしくはEICU・CCUのスタッフから介入依頼があった患者家族とした。介入は可能な限り、専門看護師とソーシャルワーカーの二名で行い、家族と支援チームの安全空間を作ることを第一に介入を行った。介入は、家族の心理状態に合わせて、現在の不安、病状の理解度、医療チームに期待すること、患者の価値観、家族背景等について語っていただき、その都度、不安や疑問が解消されるよう支援した。支援チームが得た情報は部署の職員と共有した。必要時は治療方針決定の場に『家族の支援者』として立ち会い、医療者からの説明後に家族の気持ちの確認などを行い、意思決定支援を行った。なお本発表において、調査協力の諾否によって対象者が不利益を被らないことを説明した。
結果:2019年12月中旬から活動を開始し、介入のべ件数は55件、30家族に介入した。介入した家族からは、経済的な不安、現在の病状への不安、意思決定への迷いなどが聞かれたが、その都度介入を行い、不安が解消した等の言葉が聞かれた。また、家族から直接、介入依頼があった症例は3件で、それぞれ①医療従事者の説明に対しての不満、②スタッフの対応についての不満、③自身の精神的症状についてであった。支援チームが家族と面談を行い、そこで得た情報を医療チームと共有した。その結果、①の症例では、医療従事者と家族の間での病状理解の違いが明らかになり、家族の思いや疑問を解消しながら意思決定支援が行われた。②の症例では、対象となったスタッフと部署へのフィードバックを行い、面会で得た家族の心理的状況を考慮したうえでの必要なケアを助言し、結果的にはご家族から満足度の高い終末期を迎えられたという言葉が聞けた。③の症例では、危機的状況であった家族の心理状態をアセスメントしながら面談した結果、ご家族からこの面談を契機に、自分らしさを取り戻すことができたという言葉が聞けた。また部署からも、家族支援チームの活動によって、家族の真意を把握しやすくなり、家族ケアや意思決定支援への困難感が軽減したという言葉が聞かれた。
考察:急性期における家族支援について重要性は多くの文献で述べられているが、支援者の立場について明記されているものはない。今回、家族支援チームが中立的立場で家族を支援したことが、家族が率直に思いを語ってくれる場を生み出したと考えられた。しかし、このような支援チームは日本においてもまだ存在していないため、今後は支援チームの介入評価測定が課題と考える。