[P5-2] 当院ICUにおける身体拘束実施に関する実態調査
キーワード:身体拘束
【目的】身体拘束は、切迫性・非代替性・一時性が成立する場合にのみ安全確保を目的に用いられる。一方で、関節拘縮や筋力低下などの身体的弊害、不安や怒り、認知症の進行などの精神的弊害を引き起こし、生活の質を根本から損なう危険性がある。そのため、当院ICUの身体拘束実施に関する実態を調査し、不必要な身体拘束ゼロ化に向けた課題を明らかにすることを目的とした。
【方法】2018年4月1日~2019年3月31日に当院ICUに入室し、身体拘束を必要とした成人患者を対象とした。対象の基本情報、身体拘束に関する情報および看護師の判断材料に関する記録の有無を診療録から後方視的に抽出し、記述統計を算出した。本研究では身体拘束を「衣類又は綿入り帯等を使用して、一時的に当該患者の身体を抑制し、その運動を抑制する行動の制限」と定義した。なお、本研究は当院倫理審査委員会の承認を得た上で実施した。
【結果】ICUに入室した成人患者910名のうち、対象者は23名(2.5%)であり、男性10名(43.5%)、平均年齢65.0±15.2歳、平均APACHEII20.9±7.4点、平均ICU入室期間14.0±8.7日、臨時入室91.3%であった。身体拘束開始から解除までを1件とした場合の身体拘束件数は59件、拘束時間の中央値は155分(25-1522分)であった。身体拘束の内訳は、上肢抑制72.9%、抑制ミトン23.7%、体幹抑制5.1%、その他3.4%であった。身体拘束開始時に使用していた医療デバイスは3~7種類で、経鼻胃管91.5%が最も多く、次いで膀胱留置カテーテル86.4%、中心静脈カテーテル72.9%、挿管チューブ72.9%であった。身体拘束実施前の安全対策は、見守り93.2%、環境整備45.8%、薬剤調整44.0%、留置デバイスの固定強化20.3%であった。身体拘束理由は、一時的に見守りが困難64.8%、見守りでは安全確保困難18.6%、処置時の安静確保8.5%であった。身体拘束開始時の記録記載率は、意識レベル59.3%、鎮静レベル40.6%、CPOTでの鎮痛評価3.3%、CAM-ICUでのせん妄評価3.3%であった。
【考察】身体拘束実施前の安全対策として、9割以上の患者が見守りで代替されていることや、一時的な身体拘束が最も多かったことから、臨床状況により身体拘束が必要になる場面が生じていることが示唆された。また、多くの患者に複数の医療デバイスが使用されており、計画外抜去などを予防するために身体拘束が用いられていた。しかし、患者自ら安全を確保することが困難であると判断するための患者状態を尺度等を用いて定量的に記載したものは少なかった。そのため、どのような状態の患者に身体拘束が必要と判断されているのかは明らかではなかった。以上のことから、患者状態を繰り返し評価し、定量的に比較検討することが、不必要な見守りや身体拘束減少につながると考えられる。
【結論】身体拘束は見守りが一時的に困難である場合に実施されていた。身体拘束実施時の患者評価の記録記載率は3.3~59.3%に留まり、患者状態を繰り返し評価し、身体拘束の必要性を検討することが課題である。
【方法】2018年4月1日~2019年3月31日に当院ICUに入室し、身体拘束を必要とした成人患者を対象とした。対象の基本情報、身体拘束に関する情報および看護師の判断材料に関する記録の有無を診療録から後方視的に抽出し、記述統計を算出した。本研究では身体拘束を「衣類又は綿入り帯等を使用して、一時的に当該患者の身体を抑制し、その運動を抑制する行動の制限」と定義した。なお、本研究は当院倫理審査委員会の承認を得た上で実施した。
【結果】ICUに入室した成人患者910名のうち、対象者は23名(2.5%)であり、男性10名(43.5%)、平均年齢65.0±15.2歳、平均APACHEII20.9±7.4点、平均ICU入室期間14.0±8.7日、臨時入室91.3%であった。身体拘束開始から解除までを1件とした場合の身体拘束件数は59件、拘束時間の中央値は155分(25-1522分)であった。身体拘束の内訳は、上肢抑制72.9%、抑制ミトン23.7%、体幹抑制5.1%、その他3.4%であった。身体拘束開始時に使用していた医療デバイスは3~7種類で、経鼻胃管91.5%が最も多く、次いで膀胱留置カテーテル86.4%、中心静脈カテーテル72.9%、挿管チューブ72.9%であった。身体拘束実施前の安全対策は、見守り93.2%、環境整備45.8%、薬剤調整44.0%、留置デバイスの固定強化20.3%であった。身体拘束理由は、一時的に見守りが困難64.8%、見守りでは安全確保困難18.6%、処置時の安静確保8.5%であった。身体拘束開始時の記録記載率は、意識レベル59.3%、鎮静レベル40.6%、CPOTでの鎮痛評価3.3%、CAM-ICUでのせん妄評価3.3%であった。
【考察】身体拘束実施前の安全対策として、9割以上の患者が見守りで代替されていることや、一時的な身体拘束が最も多かったことから、臨床状況により身体拘束が必要になる場面が生じていることが示唆された。また、多くの患者に複数の医療デバイスが使用されており、計画外抜去などを予防するために身体拘束が用いられていた。しかし、患者自ら安全を確保することが困難であると判断するための患者状態を尺度等を用いて定量的に記載したものは少なかった。そのため、どのような状態の患者に身体拘束が必要と判断されているのかは明らかではなかった。以上のことから、患者状態を繰り返し評価し、定量的に比較検討することが、不必要な見守りや身体拘束減少につながると考えられる。
【結論】身体拘束は見守りが一時的に困難である場合に実施されていた。身体拘束実施時の患者評価の記録記載率は3.3~59.3%に留まり、患者状態を繰り返し評価し、身体拘束の必要性を検討することが課題である。