[O11-03] クリティカルケア領域の熟練看護師が実践する「安楽なケア」の構造
Keywords:安楽ケア、熟練看護師
【目的】「安楽」は看護の中心定理であり、「安全・自立」と共に看護の基本原則と説明されている一方で、知識の体系化はされておらず、様々な領域における安楽ケアの相違についても明らかではない。そこで、本研究では、クリティカルケア領域における熟練看護師が実践する安楽なケアの構造を明らかにすることを目的とした。
【方法】クリティカルケア領域にて7年以上臨床経験のある看護師を熟練看護師とし、インタビューガイドを用いた半構造的面接法を実施した。分析方法は継続比較法とした。逐語録を精読し、意味のある最小単位にて文章を抽出し、内容を表すコードを付与した。ケースごとに、内容の関係性に基づいて構造を図示化し、5ケースを比較検討し構造を示した。
本研究は、研究者が所属する研究機関の研究倫理審査委員会の承認を受けて実施した。研究依頼時に口頭と書面にて研究目的や協力の有無によって不利益は被らないこと等を説明し同意を得た。
【結果】対象となった看護師5名は、30~34歳が4名、35~39歳が1名で、クリティカルケア領域での経験年数は平均9.4(9~11)年であった。インタビュー時間は平均56.8(53〜64)分となった。語られた安楽なケアの内容は、術後早期離床時の疼痛緩和、床上安静中の体位調整、床上安静中の皮膚障害予防、絶飲食中の口渇予防、腹臥位体位ドレナージによる呼吸ケアであった。分析の結果、クリティカルケア領域の熟練看護師が実践していた「安楽なケア」は、表情、動き、触れた感覚、検査データ、バイタルサインズといった、[表出される情報から患者の変化を捉え] [先回りをしたケアにより患者の苦痛を最小限]にし、また[強い苦痛を極力抑え患者自身が乗り越えられるよう準備を整える]ケアの実践であり、「避けられない苦痛を最小限に抑えるためのケア」が共通項として見出せた。
【考察】本研究において「安楽なケア」として語られた内容は、患者の治療、処置に直接的に関連したことであり、避けて通れない苦痛があることを前提としつつその最小限を目指したケアであったことは、強い侵襲を伴うクリティカルケア領域特有の要素であると考える。そして、意識レベルの低下や、鎮静により苦痛を伝えることすら困難である状況で、経験したことのない苦痛を感じている患者へ安楽なケアを実践するには、その前提として、バイタルサインズのみならず、微々たる表情や動きの変化を捉えケアを思考する段階が示され、改めてアセスメントの重要性が示唆された。また、クリティカルケア領域の安楽なケアの構造を明らかにしたことで、初学者をはじめとした看護師への実践教育の一助となることが期待される。
【結論】クリティカルケア領域における熟練看護師が実践する安楽なケアについて明らかにすることで、領域特有のケア内容と共通項が見出され構造化された。〈本研究は、JSPS科研費JP18H03078の助成を受けている〉
【方法】クリティカルケア領域にて7年以上臨床経験のある看護師を熟練看護師とし、インタビューガイドを用いた半構造的面接法を実施した。分析方法は継続比較法とした。逐語録を精読し、意味のある最小単位にて文章を抽出し、内容を表すコードを付与した。ケースごとに、内容の関係性に基づいて構造を図示化し、5ケースを比較検討し構造を示した。
本研究は、研究者が所属する研究機関の研究倫理審査委員会の承認を受けて実施した。研究依頼時に口頭と書面にて研究目的や協力の有無によって不利益は被らないこと等を説明し同意を得た。
【結果】対象となった看護師5名は、30~34歳が4名、35~39歳が1名で、クリティカルケア領域での経験年数は平均9.4(9~11)年であった。インタビュー時間は平均56.8(53〜64)分となった。語られた安楽なケアの内容は、術後早期離床時の疼痛緩和、床上安静中の体位調整、床上安静中の皮膚障害予防、絶飲食中の口渇予防、腹臥位体位ドレナージによる呼吸ケアであった。分析の結果、クリティカルケア領域の熟練看護師が実践していた「安楽なケア」は、表情、動き、触れた感覚、検査データ、バイタルサインズといった、[表出される情報から患者の変化を捉え] [先回りをしたケアにより患者の苦痛を最小限]にし、また[強い苦痛を極力抑え患者自身が乗り越えられるよう準備を整える]ケアの実践であり、「避けられない苦痛を最小限に抑えるためのケア」が共通項として見出せた。
【考察】本研究において「安楽なケア」として語られた内容は、患者の治療、処置に直接的に関連したことであり、避けて通れない苦痛があることを前提としつつその最小限を目指したケアであったことは、強い侵襲を伴うクリティカルケア領域特有の要素であると考える。そして、意識レベルの低下や、鎮静により苦痛を伝えることすら困難である状況で、経験したことのない苦痛を感じている患者へ安楽なケアを実践するには、その前提として、バイタルサインズのみならず、微々たる表情や動きの変化を捉えケアを思考する段階が示され、改めてアセスメントの重要性が示唆された。また、クリティカルケア領域の安楽なケアの構造を明らかにしたことで、初学者をはじめとした看護師への実践教育の一助となることが期待される。
【結論】クリティカルケア領域における熟練看護師が実践する安楽なケアについて明らかにすることで、領域特有のケア内容と共通項が見出され構造化された。〈本研究は、JSPS科研費JP18H03078の助成を受けている〉