第17回日本クリティカルケア看護学会学術集会

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シンポジウム

[SY4] 働き方(キャリア)の多様化を考える-至高のクリティカルケアを目指すための多様な活動-

座長:櫻本 秀明(茨城キリスト教大学 看護学部)、濱本 実也(公立陶生病院 看護局)

[SY4-01] [シンポジウム] 急性・重症患者看護専門看護師(CNS)という選択

○植村 桜1 (1. 大阪市立総合医療センター 看護部)

Keywords:専門看護師、キャリア開発


 クリティカルケア領域は本当に奥が深いです。その対象はこどもから大人まで、その始まりは救急疾患など突然のこともあれば、予定手術に万全の体制で臨むこともあります。慢性期の急性増悪、終末期の予期せぬ急変など、人生の転機に関わり、その命を預かります。クリティカルケアの評価は患者さん自身が決めることですが、私自身が思い描く至高のクリティカルケアの目的は、患者さんの命が助かり、幸せな未来を創造できることに尽きます。そのためには、1.クリティカルな状況を未然に防ぐこと(予防)、2.目の前の患者さんの全人的苦痛を緩和すること、3.未来に貢献すること(長期的なアウトカムの改善と次世代の発展)という3つの目標があり、それを叶えるひとつの選択肢が急性・重症患者看護専門看護師(CNS)であると考えます。
 クリティカルケアを支える場は、臨床、教育や研究など多様ですが、私がCNSを選択した動機は、ひとえに臨床現場でクリティカルケアに貢献したいという思いからでした。高度救命救急センターに配属となり5年目のころ、クリティカルケアの看護の質を向上させるためには、チーム医療(多職種との協働)の推進と現任教育の充実が不可欠であると考えました。専門看護師には6つの役割(実践・相談・調整・倫理調整・教育・研究)があると知り自身の課題と適合していると考え、臨床経験を積みながら、大学院の受験準備を始めました。10年目で大学院に進学し、誰かに教えてもらうのではなく、自分自身の力で問いに対する答えを探し、それを伝える(アウトプットする)能力を獲得しました。そのお陰で、臨床現場に戻りCNSとして活動を始め10年間色々なことにチャレンジすることができました。Rapid response system、Ethics consultation teamなどチーム医療のシステム構築、クリティカルケア領域における現任教育システムの充実、成人重症患者に対する痛み・不穏・せん妄管理のための臨床ガイドラインやCOVID-19における重症患者看護実践ガイドの作成などに携わることができました。そして、今現在は多様性に適応していくために、専門性を追求するI型(スペシャリスト)からT型(専門性を有したジェネラリスト)、さらに組織管理も専門分野とするダブルメジャーのΠ(パイ)型の人材となるべく、一般病棟に所属し管理業務を学びながら、ハイブリッドCNS(自称)を目指しています。
 キャリア開発においてCNSという選択には、多くのメリットがあります。何よりの強みはCNSの教育課程は大学院であり、高度実践看護のコンピテンシーを学び、臨床現場に直接成果を還元できる実践能力という武器を有する点です。また、抽象と具体を転換でき、理論と実践を統合できる能力を基盤とした役割開発により、多くのプロジェクトに関わることができ、看護管理者、教育者や研究者など自身の目的や目標に合わせて活動の場を拡大できます。活動の場が広がることで、多くの人との縁に恵まれ、新しい目標や仕事・役割に出会い、自身のステージを自然に高めていけます。まさしく「フロー理論(ミハイ・チクセントミハイ)」でいうフロー状態(人が能力を最大限に発揮し、充足感を覚える)を維持しながら長く続けられる素晴らしい働き方(キャリア)ではないかと自負しています。