第18回日本クリティカルケア看護学会学術集会

講演情報

教育講演

[EL2] 看護師に知っておいてほしい栄養療法のポイント-窒素バランスを看護に活かす-

2022年6月11日(土) 12:20 〜 13:20 第3会場 (国際会議場 国際会議室)

座長:藤野 智子(聖マリアンナ医科大学病院)
演者:中村 謙介(帝京大学医学部 救急医学講座)

12:20 〜 13:20

[EL2-01] 看護師に知っておいてほしい栄養療法のポイント -窒素バランスを看護に活かす-

○中村 謙介1,2 (1. 帝京大学医学部 救急医学講座、2. 日立総合病院 救急集中治療科)

キーワード:栄養療法、窒素バランス、タンパク質

窒素バランスは体全体における日々の窒素のインとアウトの差を計算することで体タンパク質の変化を間接的に評価する、医学的に古来よりある評価手法である。そのインは栄養摂取でありタンパク質におよそ16%の窒素が重量として含まれること(窒素係数6.25を算出)、アウトは主に尿から排泄される(他に糞便や体液など)と考え、例として以下の様な計算式で算出をする:窒素イン{投与タンパク質(g)÷6.25 (g)}―窒素アウト{尿中窒素排泄量(尿中UN濃度×尿量)÷0.8+0.031×体重(kg)。なお計算式には様々な算出方法が提案されており施設で一律の基準で評価することが重要である。窒素バランスは多くのlimitationを含有しその測定値で一喜一憂することは危険であるとも言える。しかし一通りのlimitationを知識として抑え日々の臨床における参考とすることは現在でもなお栄養療法に大きな意義として貢献する。すなわち、窒素バランスは筋肉量の日々の増減としてとらえることが可能なため、昨今重要視されるPICSやICU-AWのモニタリングに他ならないし、栄養療法の直接のアウトカムの1つと考えることができる。そして何より、窒素バランスの概念を知ることで、実際に窒素バランスを計算せずとも患者の同化と異化を把握し、適切な栄養療法とそれを効率化する栄養療法以外の算段(例えば早期リハビリテーションなど)を模索することが可能となる。今こそ我々は窒素バランスの概念を勉強しなおし臨床に活かすべきなのである。本講演では窒素バランスの概念と計算、limitationをわかりやすく勉強した上で、日々の栄養療法やICUケアに窒素バランスを活かす方法に関して、急性期栄養療法×リハビリテーションの観点を中心にお話したい。なお、栄養計算と窒素バランス計算が簡便に行えるスマートフォンアプリを作成し、Android用iPhone用ともに無料で公開しているので、是非ダウンロードして御使用いただきたい(本講演で計算を指南するので、御聴講いただける方は前もってダウンロードしておいていただけると幸いである)。
EL2-01