第18回日本クリティカルケア看護学会学術集会

講演情報

交流集会

[EM8] ケアとキュアの融合と継続を目指す臨床判断能力を育てる

2022年6月12日(日) 12:30 〜 13:50 第7会場 (総合展示場 314-315会議室)

委員会:教育委員会

12:30 〜 13:50

[EM8-01] 教育委員会交流集会 ケアとキュアの融合と継続を目指す臨床判断能力を育てる

○岩元 美紀2、近藤 ゆかり2、西村 祐枝2、路川 恵利加3、上澤 弘美3、大田 麻美4、益田 美津美1、石川 幸司5 (1. 名古屋市立大学大学院看護学研究科、2. 岡崎市立市民病院、3. 総合病院土浦協同病院、4. 伊勢赤十字病院、5. 北海道科学大学保健医療学部看護学科)

キーワード:ケアとキュアの融合、ケアの継続性、臨床判断能力

本交流集会では,看護基礎教育,継続教育,大学院教育,それぞれの立場から,患者の生命と生活を支え段差のないケアを目指すための臨床判断能力を育む教育の工夫について紹介する.<看護基礎教育>看護基礎教育においては2022年度から第5次カリキュラム改正が適用される.新カリキュラムでは臨床判断能力や倫理的判断の強化などが盛り込まれ,臨床判断能力の育成は大きな課題といえる.そこで,創意工夫しながら臨床判断能力の獲得に向けて取り組んできたシミュレーション教育や新カリキュラムの計画について話題提供する.<継続教育>継続教育については,教育委員会で,多岐にわたる看護実践能力を獲得するための効果的な教育を検討するために文献レビューを行った.その結果,領域横断型の幅広い教育の必要性が示唆され,クリティカルケア看護はあらゆる病期を対象としていることを改めて実感したところである.そこで,継続教育に関する2施設の教育的取り組みについて話題提供する.①多くの急性期病院が,COVID-19による有事と平時の医療・看護サービスの提供を余儀なくされ,限られた人的資源の看護師が可能な限り能力を発揮できるリリーフ体制を整え,クリティカルケアに従事する看護師の育成を図る必要があったのではなかろうか.自施設おいて,平時から求められるクリティカルケア看護スキルは,慣習的な観察とコミュニケーションで大きな問題は生じなかった.しかし,有事を契機に新たな人間関係や業務によって臨床判断と言語化における課題が浮き彫りとなった.同時期に,集合対面教育は困難となり,教育手法はe-learningやweb,OJTが強化されていった.そこで,2021年度よりJNAクリニカルラダーに準じた評価システムを活用し,クリティカルケア分野の臨床判断能力を向上させる取り組みを開始した.一般病棟看護師と救急・集中部門看護師がともに臨床判断能力を高めることを目的に,タナーの臨床判断モデルを参考に自施設で作成した教育システム「クリティカルケアバーディング」について話題提供する.②多くの施設に違わず,自施設もCOVID-19陽性重症患者の対応のため,小児科,消化器外科,産婦人科など一般病棟の看護師が2~3か月クールでの交代体制でEICUに応援に来てもらい看護師の増員を図った.応援看護師の多くは,今まで末梢動脈ラインや人工呼吸管理患者のケアを行ったことがない状況であった.EICUでは,JNAラダーを参考に作成したEICUラダーに沿って各段階で教育を行うだけではなく,タナーの臨床判断モデルを用いたOJTを行い,ラサターの臨床判断ルーブリックによる評価を実施していた.しかし,応援看護師は2~3か月クールで一般病棟に戻ってしまうため,EICUで学び得た看護を一般病棟でも活用できるように,臨床判断ルーブリックによる評価よりも,臨床判断モデルのリフレクションに重きをおき,対話を通して教育を行った.その後,EICUから一般病棟に戻った看護師たちが,EICUで学び得た看護をどのように活用しているかについて,実際の意見を提示しながら話題提供する.<大学院教育>最後に,卒後教育としての大学院教育については,専門看護師コース修了者の立場から話題提供する.専門看護師教育課程は2020年度までに38単位に移行し,新教育課程基準では,ケアとキュアの融合が強調されるようになった.そこで,2年間のコースワークの中で自身の看護実践を振り返り,ケアとキュアの融合とはどういうことか,概念と実践をどのように結びつけるかといった学びについて話題提供する.話題提供を通じ,皆様とともに、明日につながる看護教育のあり方について考え,ディスカッションしたいと考えている.(ファシリテーター 中村香代,山口庸子,田戸朝美)