第18回日本クリティカルケア看護学会学術集会

講演情報

一般演題

[O12] 運動と休息

2022年6月12日(日) 14:00 〜 15:10 第7会場 (総合展示場 314-315会議室)

座長:藤岡 智恵(飯塚病院)

14:36 〜 14:48

[O12-04] ICU Sleep Evaluation Scale(ISES)の評価者間信頼性の検証

○丸山 朝美1、嶋岡 征宏1、後藤 俊1、砂川 元汰1、嶋岡 麻耶1、相楽 章江1、藤田 優子1 (1. 山口大学医学部附属病院 看護部)

キーワード:睡眠、ICU、評価尺度

【目的】クリティカルケア領域で信頼性と妥当性が検証された睡眠評価尺度として、ICU sleep evaluation scale(以下、ISES)があるが、ICU患者に対してISESを用いた際の評価者間の信頼性は検証されていない。本研究の目的は、看護師がISESでICU患者の睡眠評価を行った際の評価者間の一致度を明らかにすることである。
【方法】ISES:看護師が客観的に評価できる睡眠観察シートと、患者が主観的に評価できる睡眠自己評価シートから構成され、本研究では睡眠観察シート(以下、観察シート)のみを用いた。観察シートは7項目(①開眼反応、②身体反応、③睡眠時の姿勢、④呼吸回数、⑤心拍数、⑥眠気の程度、⑦身体的疲労の様子)で構成されている。22時から起床時までを3時間毎に、観察項目①から⑤を評価し、起床時に1回観察項目⑥、⑦を評価する。3段階尺度のうち最も当てはまる番号を選択し、総合点が高いほど睡眠時間が長く、深い睡眠であったことを示す。
データ収集期間:2021年10月~2021年12月 
対象者:A病院の救命救急センター(以下センター)に2病日以上入院し、かつ、Glasgow Coma Scaleが14点以上(ただしVは5点とする)の、20歳以上の患者
評価者:ISES開発者から評価マニュアルを用いて説明を受けた上で、個人で3回以上実際の患者でISESの評価を試行しISESを習得した看護師6名である。センターは、ICU20床で、評価者は他の患者を受け持つことや急患の対応をするなど、通常業務内でISESを評価した。
データ収集方法:評価者2名が夜勤帯での観察を通して患者の睡眠を観察シートで評価した。分析方法:重み付けk係数95%Confidence Interval(以下、95%CI)を算出し比較した。分析ツールはSPSSVer.28を使用した。
倫理的配慮:本研究は、対象施設の倫理審査委員会の承認を得た上で実施した。
【結果】対象者は19名で、延べ40回分ISESを評価した。対象者の平均年齢は71.6±14.3歳、APCHEⅡスコアの平均は、19.1±6.0であった。評価者の看護師経験年数の平均は、8.8±6.0年であった。 ISES全項目の重み付けk係数は、k=.387(95%CI=.315-.460)であった。22~7時までの各項目の重み付けk係数は、①開眼反応:k=.274(95%CI=.110-.437)、②身体反応:k=.173(95%CI=.010-.335)、③睡眠時の姿勢:k=.387(95%CI=.202-.572)、④呼吸回数:k=.252(95%CI=.058-.445)、⑤心拍数:k=.351(95%CI=.123-.580)、⑥眠気の程度:k=.656(95%CI=.471-.840)、⑦身体的疲労の様子:k=.732(95%CI=.581-.882)であった。
【考察】 ISES全項目は、まずます一致していた。眠気の程度や身体的疲労の様子などの一時点でした評価項目は、かなり一致していた。3時間の観察を通して評価したその他の項目は、わずかに~まずます一致していた。ISESの評価の特性上、観察頻度やタイミングは評価者の判断に委ねられる。そのため、一時点ではなく、一定時間を通して評価する項目は、観察頻度やタイミングの違いが結果に影響した可能性がある。また、リサーチナースはいなかったため、評価方法には限界があった。
【結論】ISESの観察シートの評価者間の信頼性を検証した結果、まずまずの一致度であった。