第18回日本クリティカルケア看護学会学術集会

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一般演題

[O13] 家族看護2

Sun. Jun 12, 2022 2:20 PM - 3:30 PM 第4会場 (国際会議場 21会議室)

座長:姥迫 由記子(山口大学医学部附属病院)

2:32 PM - 2:44 PM

[O13-02] コロナ禍の面会制限におけるリモート面会の導入による患者家族への影響

○牟田 ゆうき1、服部 真奈美1、長谷川 遥1、島内 淳二1、木野 毅彦1 (1. 日本医科大学付属病院 外科系集中治療室)

Keywords:リモート面会、COVI-19、面会制限、集中治療室

【目的】
集中治療室に入室する患者家族は、突然の出来事にショックを受け、心理的・社会的な危機状態に陥りやすいとされている。そのような中で、面会は重要な家族ケアの一つとして位置づけられている。しかし、COVID-19の流行(以下コロナ禍)に伴い、面会制限が実施され、当部署ではタブレットを用いたリモート面会制度の導入となった。そこで、患者家族へのインタビューを行い、コロナ禍における面会制限や、リモート面会が及ぼす患者家族への影響を明らかにすることとした。
【方法】
研究デザインは、質的記述的研究デザインとした。対象は、2021年10月~11月の期間に入室し、リモート面会を希望した患者家族のうち、自由意思による文書同意が得られた患者家族とした。分析は、データをもとに逐語録を作成し、コーティングを行い、内容を抽出してカテゴリー化を行った。本研究は、日本医科大学付属病院倫理審査委員会の承認を得た。
【結果】
分析した結果、107のコードから28のサブカテゴリー、4つのカテゴリーが抽出された。【面会制限における不安】をもたらす影響は、患者の病状が把握しにくいことや、患者と直接面会出来ないことが挙げられた。【面会制限により生じた希望】は、患者を見ることや病状把握のニードが影響していた。 【リモート面会がもたらす安心・安堵】は、患者家族の病状理解や、病状改善の実感、看護師の声掛けが影響していた。【リモート面会における不安・衝撃】は、患者の病状悪化や、患者の姿を見て受けた衝撃が影響していた。 患者家族は【面会制限における不安】を抱き、【面会制限により生じた希望】に影響していた。【面会制限により生じた希望】は、リモート面会を通して、患者の姿を見ることや会話すること、適切な治療が行われていると実感することで満たされ、患者家族は【リモート面会がもたらす安心・安堵】を得ていた。また、患者家族はリモート面会によって【リモート面会がもたらす安心・安堵】を抱くと同時に、【リモート面会における不安・衝撃】を抱いていた。
【考察】
患者家族は、面会制限により、以前と比べ、情報量が少なく、医師からの病状説明が中心となった。そのような状況が、患者家族の不安を増強させたと考える。【面会制限により生じた希望】は、以前の面会におけるICU入室患者の家族のニードと一致しており、それらのニードが患者家族の希望を生じるきっかけとなったと考える。 患者家族は、看護師からの情報提供や、リモート面会を通した病状改善の実感や病状理解により、【リモート面会がもたらす安心・安堵】が得られたと考える。一方で、リモート面会はタブレット越しであり、得られる情報が限られ、患者家族が病状理解を十分にできず、【リモート面会における不安・衝撃】を抱いたと考える。また、リモート面会において、患者の姿が画面にまざまざと映し出されることで、精神的衝撃を受けたと考える。 【面会制限における不安】は、【面会制限により生じた希望】をもたらし、リモート面会により【面会制限により生じた希望】が満たされることで、患者家族は【リモート面会がもたらす安心・安堵】を抱いたと考える。また、患者家族は、リモート面会で病状改善を実感し、安心・安堵を抱きながらも、病状悪化への不安を抱いており、常にアンビバレントな感情の中で揺れ動いていると考える。
【結論】
コロナ禍における面会制限やリモート面会によって、患者家族は、患者の病状変化や医療者の声掛けに心理的な影響を受けていることが明らかになった。