第18回日本クリティカルケア看護学会学術集会

講演情報

一般演題

[O2] 鎮痛・鎮静管理

2022年6月11日(土) 11:20 〜 12:20 第4会場 (国際会議場 21会議室)

座長:渡海 菜央(日本大学医学部附属板橋病院)

11:20 〜 11:32

[O2-01] 小児の鎮静薬使用の現状と課題

○三村 健太1、竹林 洋子1、末永 順子1、三船 明日香1 (1. JCHO九州病院 看護部)

キーワード:小児の鎮静

【はじめに 】A病院集中治療室(以下ICU)には,先天性心疾患術後患者が毎年160名前後入室し,循環動態安定を目的に鎮静薬を使用する.鎮静薬使用の判断は担当看護師(以下Ns)が患児の啼泣や体動,顔色やバイタルサイン等の変化を適時的に評価し,経口摂取やあやす等の対応で安静が保てなければ指示に従い実施する.しかし,鎮静薬が奏功しない場合や頻繁に鎮静薬使用を要す場合もある.今回,小児の鎮静の現状を調べ,課題を明らかにする.尚,調査にあたり所属施設の倫理委員会の承認を得た.
【方法】 1.2019/2020年度の先天性心疾患術後患者(3か月~3歳未満)の背景及び鎮静薬使用状況 2.ICU-Ns(36名)に鎮静薬使用に関わる質問紙調査 3.2019/2020年度の小児患者のインシデント状況
【結果】1.症例調査 (図表参照) 2.質問紙調査(2択)回収率:91.2% 小児の鎮静で困った経験がある:84.8% 小児をRASSで評価した:57.6% 小児をRASSで評価し鎮静剤を使用した:30.3% 3.アクシデント:0件,インシデント:3件 内訳:中心静脈カテーテル,動脈ライン,挿管チューブトラブル各1件
【考察】2019年度と2020年度で,先天性心疾患特有の姑息術,一酸化窒素吸入実施症例や,患者背景,鎮静薬使用回数は有意差なく同程度であった.単回使用する鎮静薬の多くはミダゾラムで,抜管後も同様だった.2020年度では持続鎮静のデクスメデトメジン終了が早く,鎮静薬が奏功しない場合に使用する薬剤は異なっていた.鎮静深度が循環動態に与える影響を含め,管理方針の違いと捉えられた.質問紙調査では,小児をRASSで評価したNsは約60%に対し, RASSで評価し鎮静薬を使用すると答えたのは30%程度で,RASSの評価は薬剤使用の判断に活かされていなかった.インシデントは,いずれも重要度が高いデバイスで,鎮静を要する状況に関連していた. 多くのNsが小児の鎮静に困難感を抱える背景には,重症度を含む管理上の鎮静目標の違い, RASSでの評価の問題,鎮静薬使用の状況判断等が関わると考えられる.有用とされる小児用鎮静スケールは,評価項目が多く普及率は低いが,RASSに比べ評価指標が判りやすい.その指標を参考に評価を言語化し,鎮静の程度を共通認識して状況判断することが重要である.
【結語】先天性心疾患術後症例の鎮静薬使用の現状から,小児の鎮静状況を調査した.鎮静薬使用の機会は多いが,鎮静状態の評価や鎮静薬使用の状況判断に曖昧な側面があり,Nsは小児の鎮静に困難感を抱えていた.小児用鎮静スケールを参考に評価を言語化し,状況判断に活かす課題を得た.
O2-01