11:32 〜 11:44
[O2-02] 小児の人工呼吸器装着中に鎮痛・鎮静薬を急速静脈注入した背景の実態調査
−発達段階の違いに着目して−
キーワード:PICU、鎮痛、鎮静、人工呼吸器、発達段階
〔目的〕人工呼吸器装着中の小児において,発達段階ごとに鎮痛・鎮静薬をボーラスした理由を実態調査することで発達段階ごとの鎮痛・鎮静薬ボーラスに起因する特徴を明らかにし,必要な看護支援を考えることを目的とした.
〔方法〕量的実態調査研究(後方視的)とした.PICU入室患者のうち,鎮痛・鎮静薬を持続注入している人工呼吸器装着中の253名を対象とした.鎮痛・鎮静薬をボーラスした記録から,ボーラス回数およびボーラスした理由を抽出した.その後カテゴリー【看護ケア】,【医療処置】,【体動・覚醒】,【原因不明】,【疼痛の訴え】に分類した. 新生児期から幼児期(以下A群とする)と学童期から青年期(以下B群とする)に分別し,A群,B群でカイ2乗検定を用いて検定した.鎮痛・鎮静薬ボーラス回数に対して,年齢および鎮痛・鎮静薬ボーラス理由を説明変数とし,一般推定方程式(GEE)を用いた.統計解析にはJMPを用いた.
〔倫理的配慮〕当院倫理審査委員会の承認を得た.データ収集は施設内で行い,個人情報が記載されている資料,データは鍵のかかるロッカーで厳重に管理した.電子データはパスワードを設定して保存した.研究者以外のアクセスを制限した.収集した資料,データに関しては,本研究が終了後に速やかに破棄した.
〔結果〕両群で発達段階の違いによる有意差と独立性が示唆された(P<0.001).人工呼吸器管理1日における鎮痛・鎮静薬ボーラス理由と平均では,幼児期の【体動・覚醒】(2.25回/日)が多く,B群の特徴としては【疼痛の訴え】による鎮痛・鎮静薬ボーラスの理由が見られた.
〔考察〕A群の【体動・覚醒】による鎮痛・鎮静薬ボーラスに対しては,医療機器デバイスの安全性を優先したうえで,医療者が発達段階別に子どもの特徴を踏まえて想像力を働かせ,子どもにとって何が必要なのかアセスメントして対応していくことで鎮痛・鎮静薬ボーラスを少なくすることに繋がると考える.B群の【疼痛の訴え】による鎮静・鎮痛薬ボーラスに対しては,術前のプレパレーションやオリエンテーションで手術後の経過,患者自ら思いを訴えるツールを患者と一緒に考え使用していくことで,言葉で表現できないことや我慢してしまう発達段階に対して支援していくことができると考える.また,コミュニケーションの中から患者のニーズを捉え,鎮痛・鎮静薬ボーラスではなく,その他の鎮痛薬の使用や不快要素を取り除く看護支援を行うことによって,鎮痛・鎮静薬ボーラス回数を少なくすることが重要であると考える.
〔結論〕1.発達段階での鎮痛・鎮静薬ボーラスの理由に有意性と独立性が示唆された.2.新生児期から幼児期にかけて全てのカテゴリーにおいて鎮痛・鎮静ボーラス回数が多くなり,学童期から青年期にかけて全てのカテゴリーで鎮痛・鎮静ボーラス回数が少なくなった.3.全対象患者では,【体動・覚醒】による鎮痛・鎮静薬ボーラス回数が多かった.4.鎮痛・鎮静薬ボーラス回数を少なくするために医療者は,非薬物療法としての看護支援を考えていく必要がある.5.小児の人工呼吸器装着中の患者に対しては,発達の特徴を把握した上で,患者の「代弁者」としての役割を果たしていくことが必要である.
〔方法〕量的実態調査研究(後方視的)とした.PICU入室患者のうち,鎮痛・鎮静薬を持続注入している人工呼吸器装着中の253名を対象とした.鎮痛・鎮静薬をボーラスした記録から,ボーラス回数およびボーラスした理由を抽出した.その後カテゴリー【看護ケア】,【医療処置】,【体動・覚醒】,【原因不明】,【疼痛の訴え】に分類した. 新生児期から幼児期(以下A群とする)と学童期から青年期(以下B群とする)に分別し,A群,B群でカイ2乗検定を用いて検定した.鎮痛・鎮静薬ボーラス回数に対して,年齢および鎮痛・鎮静薬ボーラス理由を説明変数とし,一般推定方程式(GEE)を用いた.統計解析にはJMPを用いた.
〔倫理的配慮〕当院倫理審査委員会の承認を得た.データ収集は施設内で行い,個人情報が記載されている資料,データは鍵のかかるロッカーで厳重に管理した.電子データはパスワードを設定して保存した.研究者以外のアクセスを制限した.収集した資料,データに関しては,本研究が終了後に速やかに破棄した.
〔結果〕両群で発達段階の違いによる有意差と独立性が示唆された(P<0.001).人工呼吸器管理1日における鎮痛・鎮静薬ボーラス理由と平均では,幼児期の【体動・覚醒】(2.25回/日)が多く,B群の特徴としては【疼痛の訴え】による鎮痛・鎮静薬ボーラスの理由が見られた.
〔考察〕A群の【体動・覚醒】による鎮痛・鎮静薬ボーラスに対しては,医療機器デバイスの安全性を優先したうえで,医療者が発達段階別に子どもの特徴を踏まえて想像力を働かせ,子どもにとって何が必要なのかアセスメントして対応していくことで鎮痛・鎮静薬ボーラスを少なくすることに繋がると考える.B群の【疼痛の訴え】による鎮静・鎮痛薬ボーラスに対しては,術前のプレパレーションやオリエンテーションで手術後の経過,患者自ら思いを訴えるツールを患者と一緒に考え使用していくことで,言葉で表現できないことや我慢してしまう発達段階に対して支援していくことができると考える.また,コミュニケーションの中から患者のニーズを捉え,鎮痛・鎮静薬ボーラスではなく,その他の鎮痛薬の使用や不快要素を取り除く看護支援を行うことによって,鎮痛・鎮静薬ボーラス回数を少なくすることが重要であると考える.
〔結論〕1.発達段階での鎮痛・鎮静薬ボーラスの理由に有意性と独立性が示唆された.2.新生児期から幼児期にかけて全てのカテゴリーにおいて鎮痛・鎮静ボーラス回数が多くなり,学童期から青年期にかけて全てのカテゴリーで鎮痛・鎮静ボーラス回数が少なくなった.3.全対象患者では,【体動・覚醒】による鎮痛・鎮静薬ボーラス回数が多かった.4.鎮痛・鎮静薬ボーラス回数を少なくするために医療者は,非薬物療法としての看護支援を考えていく必要がある.5.小児の人工呼吸器装着中の患者に対しては,発達の特徴を把握した上で,患者の「代弁者」としての役割を果たしていくことが必要である.