14:32 〜 14:44
[O5-02] COVID-19重症例における腹臥位療法の看護実践報告
キーワード:腹臥位療法
【目的】COVID-19で腹臥位療法を行うことでの、有用性が確立されており、当院は重症患者を受け持つ専門病棟で、早期からCOVID-19重症例で腹臥位療法を開始し、第一波から第四波までに延べ45人の症例で実施してきた。腹臥位前後のPao2/Fio2比(以下P/F比と記載)の推移と変化を評価し、ほぼ全ての実施患者に改善が見られた。一方で感染対策が第一の環境下で、腹臥位療法を安全かつ、確実に実施するためには、腹臥位実施に向けて体制の整備も同時に行う必要があった。腹臥位療法における、治療効果の有用性と有害事象からの安全性を得るための看護介入の検討を行い、最善の看護介入が行えていたか振り返ることを目的とした看護実践報告とした。
【方法】1.腹臥位療法有用性の評価:当院では16時間腹臥位を実施しており、酸素化評価のため、動脈血液ガス測定を実施している。腹臥位実施前・腹臥位後6時間・腹臥位解除後のP/F比の変化を数的データから後ろ向き研究での評価を行う。腹臥位療法中の看護体制における有害事象については、報告があがったものをピックアップする。2.対象者:第一波(2020.4)から第四波(2021.5)までの腹臥位療法を実施した患者を対象とし、延べ45人の動脈血液ガスデータ、人工呼吸器情報からのデータを得る。
【倫理的配慮】本研究におけるデータの抽出は数値化し個人が特定できないように留意した。院長名でカルテの情報を、患者の個人が特定されないように十分留置した上で、発表に使用する旨における倫理審査を受けた同意書に同意いただけた患者を対象とする。
【結果】1.腹臥位療法の有用性:当院での腹臥位療法症例は45人で、腹臥位の実施は延べ238例あり、腹臥位前から腹臥位中でのP/F比の増加率は89%であった。内訳として重症急性呼吸窮迫症候群(以下ARDSと記載)基準となるP/F比150以下で動的胸郭コンプライアンスが低下した患者の腹臥位実施における増加率は84%であった。V-VECMO症例を除いた入院時P/F比150以上あったType-Hの患者に対してのP/F比の増加率は85%であった。腹臥位を実施した患者での転機では死亡に至った症例はなく、抜管できたの患者数は36名、気管切開となった患者数は9名であった。2.腹臥位療法による有害事象:COVID-19における腹臥位への体位変換時は呼吸器回路の外れによるエアロゾル発生を危惧し、医師、臨床工学士、看護師、理学療法士のチームとして5人以上で実施した。長時間腹臥位療法による顔面の褥瘡形成が発生した。生命に直結するような大きな有害事象は発生することはなかった。
【考察】当院においてはCOVID-19の診断により、Type-Hへの移行が認められた患者は、挿管管理とし入院後、48時間は肺保護戦略療法を行なった上で、腹臥位療法を実施した。87%の患者が腹臥位中のP/F比が上昇し、血流再分配による換気血流比の改善、クロージングボリュームの減少、横隔膜運動の変化による酸素化改善認められ、腹臥位の有用性が証明された。16時間以上の腹臥位を実施するため、圧挫傷、褥瘡の危惧があったが皮膚・排泄ケア認定看護師の指導のもと、腹臥位における有害事象について関わるスタッフ全員に教育を行った。圧迫部位に皮膚保護剤の貼付や適時体圧除圧を行い、皮膚損傷予防に体圧分散ベッドの導入や挿管チューブ固定におけるアンカーファスト®の利用で、一部分の褥瘡発生はあったが大きな皮膚損傷は認めなかった。
【結論】COVID-19重症例における、腹臥位療法の有用性は証明された。16時間以上の腹臥位を実施していることから、圧挫傷のリスクは高いが腹臥位療法の有用性を理解し、皮膚トラブルを防ぐための、看護介入が必要不可欠であると証明された。関わる全てのスタッフの共通の理解・認識が重要である。
【方法】1.腹臥位療法有用性の評価:当院では16時間腹臥位を実施しており、酸素化評価のため、動脈血液ガス測定を実施している。腹臥位実施前・腹臥位後6時間・腹臥位解除後のP/F比の変化を数的データから後ろ向き研究での評価を行う。腹臥位療法中の看護体制における有害事象については、報告があがったものをピックアップする。2.対象者:第一波(2020.4)から第四波(2021.5)までの腹臥位療法を実施した患者を対象とし、延べ45人の動脈血液ガスデータ、人工呼吸器情報からのデータを得る。
【倫理的配慮】本研究におけるデータの抽出は数値化し個人が特定できないように留意した。院長名でカルテの情報を、患者の個人が特定されないように十分留置した上で、発表に使用する旨における倫理審査を受けた同意書に同意いただけた患者を対象とする。
【結果】1.腹臥位療法の有用性:当院での腹臥位療法症例は45人で、腹臥位の実施は延べ238例あり、腹臥位前から腹臥位中でのP/F比の増加率は89%であった。内訳として重症急性呼吸窮迫症候群(以下ARDSと記載)基準となるP/F比150以下で動的胸郭コンプライアンスが低下した患者の腹臥位実施における増加率は84%であった。V-VECMO症例を除いた入院時P/F比150以上あったType-Hの患者に対してのP/F比の増加率は85%であった。腹臥位を実施した患者での転機では死亡に至った症例はなく、抜管できたの患者数は36名、気管切開となった患者数は9名であった。2.腹臥位療法による有害事象:COVID-19における腹臥位への体位変換時は呼吸器回路の外れによるエアロゾル発生を危惧し、医師、臨床工学士、看護師、理学療法士のチームとして5人以上で実施した。長時間腹臥位療法による顔面の褥瘡形成が発生した。生命に直結するような大きな有害事象は発生することはなかった。
【考察】当院においてはCOVID-19の診断により、Type-Hへの移行が認められた患者は、挿管管理とし入院後、48時間は肺保護戦略療法を行なった上で、腹臥位療法を実施した。87%の患者が腹臥位中のP/F比が上昇し、血流再分配による換気血流比の改善、クロージングボリュームの減少、横隔膜運動の変化による酸素化改善認められ、腹臥位の有用性が証明された。16時間以上の腹臥位を実施するため、圧挫傷、褥瘡の危惧があったが皮膚・排泄ケア認定看護師の指導のもと、腹臥位における有害事象について関わるスタッフ全員に教育を行った。圧迫部位に皮膚保護剤の貼付や適時体圧除圧を行い、皮膚損傷予防に体圧分散ベッドの導入や挿管チューブ固定におけるアンカーファスト®の利用で、一部分の褥瘡発生はあったが大きな皮膚損傷は認めなかった。
【結論】COVID-19重症例における、腹臥位療法の有用性は証明された。16時間以上の腹臥位を実施していることから、圧挫傷のリスクは高いが腹臥位療法の有用性を理解し、皮膚トラブルを防ぐための、看護介入が必要不可欠であると証明された。関わる全てのスタッフの共通の理解・認識が重要である。