10:20 〜 10:32
[O9-01] 急変予測に関するスタッフ教育の評価と今後の課題
キーワード:急変予測、早期警告スコア、呼吸イグザミネーション、急変時カンファレンス
【はじめに】「近年、院外心停止の蘇生率の改善は著しい。しかし、院内心停止の生存率は改善していない。(安宅・中川2015)」医療安全全国共同行動にて、「急変時の迅速対応」が求められ、多くの医療機関で院内急変対応システム(rapid response system:RRS)の導入が始まった。対象病院でも、早期警告スコア(national early warning score:NEWS)を発動基準としたRRSが導入された。対象病院A病棟では看護師の急変予測に対する教育を、NEWS勉強会、呼吸イグザミネーションによる呼吸フィジカルアセスメントの強化、実際に起きた急変事例をもとに振り返る急変時カンファレンスという構造で教育設計図を計画し実施した。これらの教育の取り組みを振り返り、急変予測に関する教育の示唆を得ようと考えた。
【目的】急変予測に関する取りくみについて教育の効果を明らかにし、今後の急変予測に関する教育の示唆を得る。
【研究方法】1)用語の定義 急変事例:患者の状態が悪化しICUへ転出した事例。2)データ収集期間:2020年10月1日〜10月27日。3)研究対象者:2019年4月にA病棟に勤務していた32名の看護職員。4)データ収集方法:調査用紙の項目数と解答の選択枝。5)分析方法:調査用紙の結果よりリーダー役割を担わない看護師を「1群」、リーダー役割を担う看護師を「2群」とし分析した。
【倫理的配慮】対象病院の倫理委員会の承諾(承認番号M20094)を得た。調査用紙は無記名とし、対象者の特定や不利益が被らないようにデータ収集において、病棟外の職員の協力を得て実施した。
【結果】対象者32人へアンケートを配布し27人から回収を得た。欠損値のあった1人を除外し26人を分析対象とした(有効回答率96.3%)。設問「NEWSスコア勉強会が急変予測に役立ったか」は、「大変役立っている」1群2 人(14%)2群3人(25%)「まあまあ役に立っている」1群10人(71%)2群6人(50%)「どちらでもない」1群2人(14%)2群1人(8%)「あまり役立っていない」2群2人(16%)であった。設問「呼吸イグザミネーションが急変予測に役立ったか」は、「大変役立っている」1群5人(35%)2群5人(41%)「まあまあ役に立っている」1群7人(50%)2群6人(50%)「どちらでもない」1群2人(14%)2群1人(8%)であった。設問「急変時カンファレンスにおいて急変予測に役立ったか」は「大変役立っている」1群3人(21%)2群5人(42%)「まあまあ役に立っている」1群7人(50%)2群6人(50%)「どちらでもない」1群3人(19%)2群1人(8%)であった。設問「急変予測に関してどの程度の不安があるか」において「大変感じる」「少し感じる」と回答した24人のその要因は、「呼吸」23人(95%)、「意識レベル」22人(91%)であった。自身の急変時の不安要因は「知識」「急変対応の経験値」19人(79%)、「看護技術」18人(75%)であった。自身の急変時の不安要因を1群と2群で比較すると1群の方がより不安があると回答していた。
【考察】これらの取り組みは、80%以上のスタッフが急変予測に役立ったと回答していることから教育効果があったと考える。1群は急変予測の指標を学習することで経験を補うことができ効果があった。2群は急変時カンファレンスで思考を訓練し実践に備えることができ効果があった。
【結論】急変予測に関する教育設計図は、 準備・実践・実践の振り返りという構造になっていたことが、学習転移を促し実践に即した教育方法であった。
【目的】急変予測に関する取りくみについて教育の効果を明らかにし、今後の急変予測に関する教育の示唆を得る。
【研究方法】1)用語の定義 急変事例:患者の状態が悪化しICUへ転出した事例。2)データ収集期間:2020年10月1日〜10月27日。3)研究対象者:2019年4月にA病棟に勤務していた32名の看護職員。4)データ収集方法:調査用紙の項目数と解答の選択枝。5)分析方法:調査用紙の結果よりリーダー役割を担わない看護師を「1群」、リーダー役割を担う看護師を「2群」とし分析した。
【倫理的配慮】対象病院の倫理委員会の承諾(承認番号M20094)を得た。調査用紙は無記名とし、対象者の特定や不利益が被らないようにデータ収集において、病棟外の職員の協力を得て実施した。
【結果】対象者32人へアンケートを配布し27人から回収を得た。欠損値のあった1人を除外し26人を分析対象とした(有効回答率96.3%)。設問「NEWSスコア勉強会が急変予測に役立ったか」は、「大変役立っている」1群2 人(14%)2群3人(25%)「まあまあ役に立っている」1群10人(71%)2群6人(50%)「どちらでもない」1群2人(14%)2群1人(8%)「あまり役立っていない」2群2人(16%)であった。設問「呼吸イグザミネーションが急変予測に役立ったか」は、「大変役立っている」1群5人(35%)2群5人(41%)「まあまあ役に立っている」1群7人(50%)2群6人(50%)「どちらでもない」1群2人(14%)2群1人(8%)であった。設問「急変時カンファレンスにおいて急変予測に役立ったか」は「大変役立っている」1群3人(21%)2群5人(42%)「まあまあ役に立っている」1群7人(50%)2群6人(50%)「どちらでもない」1群3人(19%)2群1人(8%)であった。設問「急変予測に関してどの程度の不安があるか」において「大変感じる」「少し感じる」と回答した24人のその要因は、「呼吸」23人(95%)、「意識レベル」22人(91%)であった。自身の急変時の不安要因は「知識」「急変対応の経験値」19人(79%)、「看護技術」18人(75%)であった。自身の急変時の不安要因を1群と2群で比較すると1群の方がより不安があると回答していた。
【考察】これらの取り組みは、80%以上のスタッフが急変予測に役立ったと回答していることから教育効果があったと考える。1群は急変予測の指標を学習することで経験を補うことができ効果があった。2群は急変時カンファレンスで思考を訓練し実践に備えることができ効果があった。
【結論】急変予測に関する教育設計図は、 準備・実践・実践の振り返りという構造になっていたことが、学習転移を促し実践に即した教育方法であった。