第18回日本クリティカルケア看護学会学術集会

講演情報

一般演題

[O9] 医療安全

2022年6月12日(日) 10:20 〜 11:20 第4会場 (国際会議場 21会議室)

座長:藤井 絵美(岡山市立市民病院)

11:08 〜 11:19

[O9-05] EICUにおける想定外抜去に関するインシデント発生の要因

○宮本 遼1、上澤 弘美1、路川 恵利加1 (1. 総合病院土浦協同病院 EICU)

キーワード:インシデント、想定外抜去、要因、ICU

【研究目的】
EICUにおける想定外抜去に関するインシデントの発生要因を明らかにする.
【研究方法】
1.分析対象:EICUにおいて想定外抜去が発生した際に作成したインシデントレポート 2.研究期間:2019年4月1日~2021年3月31日 3.データ収集方法:EICUで生じたインシデントの中で,想定外抜去に関するインシデントレポートを集計する. 4.分析方法:想定外抜去に対するインシデントレポートを集計し想定外抜去発生時の事例内容や背景を抽出.抽出したデータをテキストマイニング(KH Coder)で前処理を行い,抽出語の確認と共起ネットワークを表示.表示したデータを使用し,発生時に生じているものや関連するものを絞り込み,可視化して要因を明確にする. 5.倫理配慮:病院倫理審査委員会承認
【結果】
1.概要:EICUで発生した想定外抜去は56件を対象とした. 2.想定外抜去発生時の共起ネットワーク分析:語句の出現パターンや強さは白,灰色,黒の順で中心性が高くなる.共起の強さは,点線,線,太線の順で共起が強くなる. 看護師要因では,危険予知,看護師不足の中心性が高かった.危険行動の予知や看護師間で情報共有が不十分なこと,休憩による看護師の人員不足が看護師との共起が強かった. 患者要因では,鎮静剤,麻薬の持続的な使用,漸減,抑制を外す,老年期の中心性が高かった. 看護師,患者双方の要因では,患者の不穏時のインシデント発生と看護師が不足している事の共起,中心性ともに低かった(図1).
【考察】
看護師要因は,危険予知,看護師の不足の共起が強い事から看護師が患者の行動への危険予知が出来ていない事,担当看護師が休憩中の人員不足が想定外抜去の発生要因と考える.またCAM-ICUは,陰性時の中心性が高い.CAM-ICU陽性時,看護師は危険予知の精度が高まり,意図的に危険予知を行い想定外抜去を予防できる.しかし陰性時は,危険予知の精度が低下し,想定外抜去が発生すると考える.CAM-ICUの感度は75.5~81.0%(J-PADガイドライン,2014)であり,捉えられないせん妄を見逃す事も考えられる. 患者要因は,老年,鎮静,持続が患者との中心性,共起ともに高く,高齢者への持続的な薬剤投与は,想定外抜去の発生要因と考える.鎮静剤使用は意識の混濁を招く恐れがあり,危険予知が出来ないと想定外抜去が発生する可能性が高くなると考える. 以上のことから,継続的に危険予知訓練を進める事で,危険予知の精度が向上し想定外抜去を予防出来ると考える.
O9-06