第18回日本クリティカルケア看護学会学術集会

講演情報

集会長講演

[PL1] 看護を紡ぎ次代を拓く

2022年6月11日(土) 09:10 〜 09:40 第1会場 (国際会議場 メインホール)

座長:佐々木 吉子(東京医科歯科大学大学院保健衛生学研究科)
演者:立野 淳子(一般財団法人平成紫川会 小倉記念病院)

09:10 〜 09:40

[PL1-01] 看護を紡ぎ、次代を拓く。

○立野 淳子1 (1. 一般財団法人平成紫川会 小倉記念病院)

キーワード:集会長講演

本学会は、クリティカルケア看護学に関わる多くの看護職が集結し、人々に貢献するクリティカルケア看護学の確立と発展をめざし2004年に設立されました。設立から18年の歩みの過程では、クリティカルケア看護に携わる看護職をとりまく環境は大きく変化しました。その一つは、高齢化に伴う疾病構造や国民の医療やケアに対するニーズ、長期化の様相をみせる新型コロナウイルス感染症を始めとする新興感染症の拡大、毎年のように全国各地で発生する災害など社会情勢の変化です。また、医療技術の飛躍的な進歩や医療者の働き方改革、看護職の役割拡大、チーム医療の推進、医療制度改革なども大きな変化と捉えることができます。このようにクリティカルケア看護を取り巻く環境が変化し続ける中においても、我々は看護の本質から逸れることなく、看護師の役割を変化、拡大させることで世の中のニーズに応え、クリティカルケア看護の専門性の構築に挑戦し続けています。では、クリティカルケア看護の本質とはなんでしょうか。本学会設立に携わった深谷氏は、「クリティカルケア看護に携わる看護師が多いわりには、どのような看護を行っているか説明できないことが多い」ことを本学会学会誌の記念すべき1号1巻の中で述べられています。18年の時を経てもなおこの重要な問いは探求を続ける重要課題であると考えます。同論文の中では、クリティカルケア看護の一つひとつを丁寧に見直し、根拠が明確でないことについては研究的(実証的)に取り組むこと、また研究的に明らかにされたことを看護実践に役立てることにより看護の追求を積み重ねていくことの必要性が述べられています。実践と研究という両輪がうまく機能してこそクリティカルケア看護は変化し発展していくものであると考えています。ここでいう実践と研究とは単にどのようなケアがbest practiceなのかの探求ではありません。クリティカルケアに携わる看護職の労働環境や人材育成などの教育的、管理的な視点(影響因子)も含まれます。先人たちが紡いできたクリティカルケア看護の本質とは何であるかを今一度見つめ(照顧)、そして今、未来に求められるクリティカルケア看護を探求し、次代を切り拓いていきたいとの想いを「看護を紡ぎ、次代を拓く」というメインテーマに込めました。集会長講演では、本学会の18年間の発展を学会誌などから振り返るとともに、自身のこれまでの実践や研究活動の想起と評価を踏まえて、そう遠くない未来に向けて取り組むべき課題や向かうべき趨勢を述べてみたいと思います。