第21回日本救急看護学会学術集会

講演情報

一般演題(ラウンドテーブルディスカッション (RTD))

チーム医療

[RTD8] RTD(CN)8群 チーム医療

2019年10月5日(土) 09:00 〜 10:20 RTD会場 (2F 国際会議室)

座長:徳山 博美(関西医科大学附属病院)

[RTD8-2] 一般病棟における呼吸ケア向上を目指した取り組み ~RSTラウンド方法の改善~

成瀬 暁生 (高崎総合医療センター)

【はじめに】
 A病院は451床の3次救急病院であり, 医師, ME, 集中ケア認定看護師,看護師からなるRespiratory Care Support Team(以下RST)が, 人工呼吸器装着患者に対しRSTラウンドとして週1回の介入を行なっている. 2018年度は一般病棟での対象患者36名に対し, 呼吸器装着中の安全な呼吸ケアの提供を行なったが, 一般病棟では患者に適したポジショニングやリハビリが継続できていない事があった. スタッフからは, どのように動かして良いか分からず不安だ, リハビリを躊躇してしまう, という声があり, 口頭指導の限界や, RSTの関わりが不十分だと感じていた. そこで, RSTラウンドの介入方法を改善し, ポジショニングやリハビリが継続できるようにしたいと考えた.

【目的】
RSTラウンドの介入方法を改善し, ポジショニングやリハビリが継続できるようにする.

【方法】
1)介入回数の改善:RSTのラウンド以外にも, 病棟の業務状況に合わせ訪室し, 介入を行なった.
2)指導時間の改善:1患者10分程度の介入から, 1患者40分程度の介入にした.
3)指導方法の改善:口頭での説明や指導ではなく, 集中ケア認定看護師が受け持ち看護師と共に呼吸ケアを実施した.
4)リハビリ方法の改善:医師, ME, PTが同席できるようにした.
5)記録方法の改善:実施内容の再現性と継続性を高めるため, 実施方法や写真をカルテへ記述した.
6)コミュニケーション方法の改善:実施後の疑問点や不安をその場で確認するようにした.

【期間】
2019年4月〜6月

【倫理的配慮】
患者個人が特定されないよう配慮した.

【結果】
1)ヘッドアップ30度や半腹臥位など, 患者にあったポジショニングとなった.
2)関節可動域訓練や端坐位など, リハビリが継続されるようになった.
3)医師, ME, PT, 受け持ち看護師と時間を合わせ, 立位や歩行などのリハビリ実施時に多職種連携が取れていた.
4)実施した内容が, 看護記録や看護計画に反映されるようになった.
5)実施方法や注意点がスタッフへ周知されるようになった.
6)病棟スタッフ間で, 教育的な関わりが見られた.
7)集中ケア認定看護師へのコンサルトが, 1ヶ月の間に3件, 異なる病棟からあった.
8)ラウンド時に, 「来てくれてよかった」と肯定的な発言が聞かれるようになった.

【考察】
 一般病棟でポジショニングやリハビリが継続できるようになった要因は, 患者への介入を共に実践した事, 具体的な実施方法をスタッフが成功体験として得られたことが大きいと考えられる. これにより, 「疑問や不安をすぐに相談できる環境」という安心感, 「安全な介入の実際」を体感した達成感を与えられたと考えている. 森安は,「患者を取り巻く医療者との連携やコミュニケーションを取りやすい雰囲気を維持することが, 教育活動を現場が能動的に行うことを推進しうる」1)と述べている. 改善後のラウンドでは, コミュニケーションを重視し, 多職種とのマネジメントを行い, リハビリ継続の重要性をスタッフに理解してもらうことができた. その結果, スタッフが主体的に取り組み, コンサルト件数の増加, 記録や計画の充実, そしてケアの継続につながったと考えられる.