第22回日本救急看護学会学術集会

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一般演題

トリアージ

[O3] 一般演題3

[O3-05] A病院におけるトリアージナースが感じる困難な状況を明らかにする~救急看護の質向上を目指して~

○蓮見 駿1、石上 八重子1、大川 あさ子1 (1. 地方独立行政法人 総合病院 国保旭中央病院)

Keywords:院内トリアージ、救急外来

【はじめに】
A病院は24時間全次救急患者を受け入れており、2018年度の年間受診者数は46741名である。A病院では院内トリアージを行っており、待合室にいる患者までおもむきトリアージを行う方式をとっているが、待合室に出向くとトリアージ業務以外にも対応を求められることが多く、ストレスなど感じているのではないかと思われる。既存の研究ではトリアージナースのストレッサーに関する研究の中に困難な内容に触れられているが、A病院での困難な状況は明らかにされていない。今回、A病院におけるトリアージナースが感じる困難な状況を明らかにする
【研究目的】
A病院におけるトリアージナースが感じる困難な状況を明らかにし、今後の看護の方向性を見い出す
【方法】
対象:当院における院内トリアージに従事する救急外来看護師3~5年目7名、6~10年目3名、10年目以降15名、計25名
救急外来看護師3~5年目A群、6~10年目B群、10年目以降C群とした
方法:半構造化インタビュー
1、対象者に向けて研究の説明を実施
2、アンケート調査。項目はトリアージナースの求められる役割を8項目と自由記載、回答は5段階とした
3、アンケート調査の結果をもとにインタビュー(個人面接)を実施
4、アンケートとインタビューをもとにデータ分析
【倫理的配慮】
アンケートの回答により同意とし、研究終了後書類は速やかに破棄する。プライバシーの保護に努め、病院内看護局倫理審査委員会の承諾を得た
【結果】
アンケート回収率は95.6%。内訳は困難に「感じる」、「やや感じる」回答では、
1、「受診患者の緊急度判定」20件(A群:4件、B群3件、C群13件)
2、「患者・付きそい人とのコミュニケーション」9件(A群3件、B群3件、C群3件)
3、「適切な場所への誘導」1件(A群:0件、B群0件、C群1件)
4、「治療プロトコールに則った初期介入・応急処置を開始」5件(A群:2件、B群2件、C群1件)
5、「患者の観察および再評価」6件(A群:2件B群:1件C群:3件)
6、「患者の流れの調整」5件(A群:1件B群:3件C群:1件)
7、「トリアージ記録」2件(A群:0件B群:0件C群:2件)
8、「チーム医療の調整」2件(A群:1件B群:1件C群:0件)
インタビューでは、トリアージ判断基準の内容が多く「アンダートリアージの指摘がないためトリアージ能力が上がらない」患者・付きそい人とのコミュニケーションは「訴えが多く受診理由等を把握しきれない」「待ち時間へのクレーム」など。適切な場所への誘導は「ベッド不足」など。治療プロトコールに則った初期介入・応急処置を開始は「眼科、耳鼻科など少ない症例の対応」「患者数が多いと処置まで手が回らない」など。患者の観察および再評価は来院者数が多く再トリアージできないなどの内容が多かった。患者の流れの調整は「待合いの患者の診察までが2.3時間待ちになるとき」など。トリアージ記録は「電子化移行により入力の時間を要する」「記載内容に迷う」など。チーム医療は「マンパワー不足」「上級医とのコミュニケーション不足」など回答が得られた。
【考察】
トリアージナースが困難な状況の要因として、1つの因子ではなく複数の因子が重なっていた。トリアージの判断に対して困難を感じていることや、来院数が多くさらに初期対応が必要な場合があり、1人で抱えなければいけない現状のシステムが原因と考えられる。今後の課題として、検証後のフィードバックなど、トリアージナースの教育や支援方法の見直しが必要と考える。さらに負担に感じないようなシステム作りの構築が求められる。