第22回日本救急看護学会学術集会

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一般演題

トリアージ

[O3] 一般演題3

[O3-07] ERでのトリアージにおける呼吸回数測定に影響する要因

○濵田 祐奈1、大垣 由美1、福田 ひろみ1 (1. 徳島赤十字病院)

Keywords:トリアージ、呼吸回数測定

【はじめに】近年,呼吸回数と患者の急変には関係性がある事が明らかにされている.しかし,トリアージ問診票の記載状況を確認すると他のバイタルサインに比べて呼吸回数の記載漏れが多い事がわかった.呼吸回数と患者の急変徴候との関連は強く,トリアージレベルを決定するために重要な項目の一つである.呼吸回数測定には看護師個々の技術以外にも影響する要因があると考え本研究に取り組む事とした.【目的】ERでのトリアージにおける呼吸回数測定に影響する要因を明らかにする.【方法】A病院に勤務しERでトリアージに携わる看護師50名に質問用紙を配布し,呼吸回数測定に関して独自に作成したアンケート調査を行った.収集期間は2019年10月1日~10月31日とし, 質問用紙の内容は,属性,成人のトリアージにおける呼吸回数測定について,小児のトリアージにおける呼吸回数測定について,トリアージ全般について,日常の呼吸回数測定についての5項目とした.アンケートの結果を項目毎に集計し,χ2検定を行い有意確率をp<0.05とした.また,2018年4月1日~2019年3月31日までに実施された成人・小児トリアージ問診票から呼吸回数記入率を集計した.【倫理的配慮】A病院倫理委員会の承認を得て実施した.【結果】2018年度トリアージ問診票の呼吸回数記入率は,成人91%,小児77%であった.アンケート回収率は88%(44名)であった.トリアージで呼吸回数を測定しているかの質問は, 成人は「全例している」15名(34%)「ほとんどしている」17名(39%),小児は「全例している」10名(23%)「ほとんどしている」25名(57%)であった.日常の呼吸回数測定は,ER専属では「全例している,ほとんどしている」11名(100%),ER以外は11名(33%)であり有意差をみとめた.【考察】アンケートの呼吸回数を測定しているかの質問に対して,「全例している」,「ほとんどしている」と答えた人を合わせると,成人では73%,小児では80%とほとんどできているが,「全例している」のは成人では34%,小児では23%であった. 呼吸回数を重要と答えている人が98%と高いことから,重要性を理解し実践しているため,今後は全例行うことを目標にすることが重要となる.ER専属の看護師の実施率が高いことは日頃から呼吸回数測定が習慣となっていると考えられる. また,ERではトリアージ以外でも救急医と直接かかわることが多いため呼吸回数を問われる機会が多く,そのことが呼吸回数測定への認識の高さに影響していると考える. 呼吸回数測定を困難にさせる要因として,「第一印象で頻呼吸になっていないとわかるから」と答えた人が多いことから第一印象では呼吸の評価をしているが,実際の回数測定の実施までは行えていないことが考えられる.呼吸回数測定の実施と記録までをゴールと決めて行う必要がある. 小児の呼吸回数測定においては「測定するのが難しいから」と答えた人が成人より多く,トリアージにおける小児の観察の難しさもあげられる.トリアージブースが必要と答えた人が73%いることからも,呼吸回数測定がゆっくりできるような環境を整えるためトリアージブースの更なる整備が今後も必要になってくると考える.【結論】トリアージにおける呼吸回数測定は成人73%,小児80%ができていた. 全体的に呼吸回数測定を重要ととらえている人が多かった.できていない理由としては,第一印象で頻呼吸になっていないとわかる,小児においては呼吸観察が難しいことがあげられた.