[O9-03] 院内の一次救命処置技術の向上に向けた取り組み
Keywords:一次救命処置、看護師
【はじめに】
院内急変は時間・場所を問わず発生する。看護師は第一発見者となる事が多く、適切な一次救命処置(以下BLS)の技術を習得しておく必要がある。当院の急変発生件数は年間約70件であるが、いくつかの事例でBLSに関する技術の不足を救急医から指摘されることがあった。そこで全看護師を対象としたBLS技術の研修を実施することとした。
【目的】
BLS技術に関する現状を把握し、急変対応研修について考察する
【方法】
期間:2019年5月~2020年2月 第4水曜日
対象:看護師 533名
内容
1回あたり5人1グループでの30分のBLS技術研修を1日に6回実施 事前にBLS動画を視聴し受講 BLS人形とAEDトレーナーを各2個使用しインストラクター3名が参加 BLS技術はチェックリストを使用して、胸骨圧迫の正しい手の位置・速度・深さ・リコイル・AEDの正しい使用ができるかを確認した 研修後アンケートの実施
評価 チェックリストとアンケート結果の単純集計から研修内容を振り返る
【倫理的配慮】
得られた情報は個人が特定されないように配慮した。当院の研究倫理委員会の承認を得て実施した
【結果】
看護師533名中499名が参加し参加率は84.2%であった。BLS技術のチェックリストの結果から、胸骨圧迫の手技では位置が不適切であったものが14%、速度が不適切であったものが12.4%、深さの不足が30.1%、リコイルが出来ていないものが13.3%であった。AEDの使用については、正しく使用出来ていないものが4.7%、安全確認の不足が10.9%であった。また絶え間ない胸骨圧迫を実施出来なかったものが6%であった。
研修後のアンケートでは、動画で学習したことは実践できたか、現場で実施できそうか、の問いに対して90%以上が可能であると回答した。自由記載では「勉強になった」「定期的な訓練が必要と感じた」との意見もあった。
【考察】
研修は動画視聴後に参加することとしたので、急変対応に不慣れ、あるいは手技に不安のある看護師もイメージを付けやすかったのではないかと考えられる。深さの不足30.1%と最も多い結果となった。ガイドラインでは「5㎝以上6㎝を超えない」とされているが実践してみないと体感はできない。参加者は実際に圧迫をすることで、思ったより深さが必要であったことに気がつくことができたのではないかと考えられる。一方で胸骨圧迫の深さやリコイルは、インストラクターの目視による主観的な評価となり評価者によりばらつきが生じやすい状況にあった。今後はフィードバック機能のついたシミュレーター等による客観的な評価ができる体制を整えるなど、組織への働きかけも必要となる。また看護師のBLS受講経験の有無や急変対応経験の有無は確認していないため、参加者の経験に応じた研修の企画が必要である。
AEDの安全な使用や胸骨圧迫の中断時間が長くなることに関しては、基本的な知識を習得していないことが要因の一つと考えられる。認知領域と行動領域へ働きかけることで研修効果が高まると言われており、プレテストを行い知識の確認と整理を行った上で研修に参加してもらう必要があった。
2019年の急変事例では、救急医からのフィードバック内容は技術に関する事柄は減少しチームワークや役割分担に関することや挿管介助に関する事柄がみられるようになっている。今後の課題としては、BLS技術の維持のための定期的な研修の開催すること、部署の特徴を考慮した研修内容とすること、さらに挿管介助や薬剤投与などACLSの要素を取り入れた研修を企画・開催していくことが挙げられる。
院内急変は時間・場所を問わず発生する。看護師は第一発見者となる事が多く、適切な一次救命処置(以下BLS)の技術を習得しておく必要がある。当院の急変発生件数は年間約70件であるが、いくつかの事例でBLSに関する技術の不足を救急医から指摘されることがあった。そこで全看護師を対象としたBLS技術の研修を実施することとした。
【目的】
BLS技術に関する現状を把握し、急変対応研修について考察する
【方法】
期間:2019年5月~2020年2月 第4水曜日
対象:看護師 533名
内容
1回あたり5人1グループでの30分のBLS技術研修を1日に6回実施 事前にBLS動画を視聴し受講 BLS人形とAEDトレーナーを各2個使用しインストラクター3名が参加 BLS技術はチェックリストを使用して、胸骨圧迫の正しい手の位置・速度・深さ・リコイル・AEDの正しい使用ができるかを確認した 研修後アンケートの実施
評価 チェックリストとアンケート結果の単純集計から研修内容を振り返る
【倫理的配慮】
得られた情報は個人が特定されないように配慮した。当院の研究倫理委員会の承認を得て実施した
【結果】
看護師533名中499名が参加し参加率は84.2%であった。BLS技術のチェックリストの結果から、胸骨圧迫の手技では位置が不適切であったものが14%、速度が不適切であったものが12.4%、深さの不足が30.1%、リコイルが出来ていないものが13.3%であった。AEDの使用については、正しく使用出来ていないものが4.7%、安全確認の不足が10.9%であった。また絶え間ない胸骨圧迫を実施出来なかったものが6%であった。
研修後のアンケートでは、動画で学習したことは実践できたか、現場で実施できそうか、の問いに対して90%以上が可能であると回答した。自由記載では「勉強になった」「定期的な訓練が必要と感じた」との意見もあった。
【考察】
研修は動画視聴後に参加することとしたので、急変対応に不慣れ、あるいは手技に不安のある看護師もイメージを付けやすかったのではないかと考えられる。深さの不足30.1%と最も多い結果となった。ガイドラインでは「5㎝以上6㎝を超えない」とされているが実践してみないと体感はできない。参加者は実際に圧迫をすることで、思ったより深さが必要であったことに気がつくことができたのではないかと考えられる。一方で胸骨圧迫の深さやリコイルは、インストラクターの目視による主観的な評価となり評価者によりばらつきが生じやすい状況にあった。今後はフィードバック機能のついたシミュレーター等による客観的な評価ができる体制を整えるなど、組織への働きかけも必要となる。また看護師のBLS受講経験の有無や急変対応経験の有無は確認していないため、参加者の経験に応じた研修の企画が必要である。
AEDの安全な使用や胸骨圧迫の中断時間が長くなることに関しては、基本的な知識を習得していないことが要因の一つと考えられる。認知領域と行動領域へ働きかけることで研修効果が高まると言われており、プレテストを行い知識の確認と整理を行った上で研修に参加してもらう必要があった。
2019年の急変事例では、救急医からのフィードバック内容は技術に関する事柄は減少しチームワークや役割分担に関することや挿管介助に関する事柄がみられるようになっている。今後の課題としては、BLS技術の維持のための定期的な研修の開催すること、部署の特徴を考慮した研修内容とすること、さらに挿管介助や薬剤投与などACLSの要素を取り入れた研修を企画・開催していくことが挙げられる。