[O9-10] 三次救急外来における重篤小児救急患者の看護に関する実態調査(第2報)-看護師教育の現状-
Keywords:小児救急看護、看護師教育、三次救急外来、救命救急センター、小児救命救急センター
【はじめに】少子化となった現在も一定の割合で発生している重篤小児救急患者の対応は、小児救命救急センター(Pediatric Emergency Departments:以下、PED)のみでなく既存の救命救急センター(General Emergency Departments:以下、GED)でも求められている。GEDは主に成人患者を対象としており、重篤小児救急患者に関する救急外来看護師への教育は、施設状況によって差があることが予測される。現在その看護師教育について調査した研究は見当たらない。
【目的】三次救急外来における重篤小児救急患者に関する看護師教育の現状を明らかにする。
【方法】研究デザイン:自記式質問紙調査法による横断的実態調査研究。
対象者:全国のGEDおよびPEDを有する301施設のうち、研究協力の同意が得られた46施設の救急外来看護管理者(以下、管理者)。
調査方法:対象施設の看護部長に研究協力を依頼し、同意の得られた施設の管理者へ質問紙を郵送した。質問紙は無記名で個別郵送法にて回収し、返送により本研究への協力・同意が得られたこととした。
質問紙の概要:先行文献を参考に、重篤小児救急患者受入れに関する施設状況、管理者の認識、看護師教育の現状について独自の質問紙を作成した。
分析方法:質問項目毎に単純集計を行い、変数間の関連をχ2検定またはFisherの正確検定で分析した。
【倫理的配慮】所属大学の倫理委員会の承認を得て実施した。対象者へは文書にて説明を行った。
【結果】33施設から回答を得た(回収率71.7%)。有効回答数は32施設(有効回答率96.9%)であった。
施設の種類は、GEDが24施設(75.0%)、GEDとPED併設が6施設(18.8%)、PEDが2施設(6.2%)であった。小児患者優先病床がある施設は15施設(46.9%)であった。救急車来院患者に占める小児患者割合は中央値8.9%[4.0-14.3]であった。救急外来に小児看護経験者がいる施設は19施設(59.4%)、その人数は中央値2.0名[2.0-4.0]であった。
管理者の認識として、重篤小児救急患者に関する教育は重要と回答した施設は31施設(96.9%)、優先度は高いと回答した施設は24施設(75.0%)であった。
重篤小児救急患者の看護教育プログラムがあると回答した施設は12施設(37.5%)であった。プログラムの内容は、「トリアージ」「虐待」が10施設(83.3%)、次いで「バイタルサイン」が9施設(75.0%)であった。小児患者を対象とした心肺蘇生教育として、BLSは16施設(50.0%)、ALSは9施設(28.1%)で実施されていた。小児看護経験のある教育担当者がいる施設は7施設(21.9%)であった。
教育プログラムがある施設は、小児患者優先病床がある施設(p=.047)、救急車来院患者における小児患者割合が高い施設(p=.026)、小児看護経験のある教育担当者のいる施設(p=.002)で有意に多かった。小児看護経験のある教育担当者がいる施設は、救急外来に小児看護経験者がいる施設(p=.043)で有意に多かった。
【考察】管理者は教育の重要性は高いと感じている一方、実際に教育プログラムのある施設は約4割に留まった。これは救急外来における重篤小児救急患者の割合が少ないこと、小児看護経験のある教育担当者が少ないことに関連していることが明らかとなった。積極的に重篤小児救急患者の受け入れを行っている施設との施設間連携や院外研修の活用による教育体制の充実に向けた取り組みが必要であると考える。
【目的】三次救急外来における重篤小児救急患者に関する看護師教育の現状を明らかにする。
【方法】研究デザイン:自記式質問紙調査法による横断的実態調査研究。
対象者:全国のGEDおよびPEDを有する301施設のうち、研究協力の同意が得られた46施設の救急外来看護管理者(以下、管理者)。
調査方法:対象施設の看護部長に研究協力を依頼し、同意の得られた施設の管理者へ質問紙を郵送した。質問紙は無記名で個別郵送法にて回収し、返送により本研究への協力・同意が得られたこととした。
質問紙の概要:先行文献を参考に、重篤小児救急患者受入れに関する施設状況、管理者の認識、看護師教育の現状について独自の質問紙を作成した。
分析方法:質問項目毎に単純集計を行い、変数間の関連をχ2検定またはFisherの正確検定で分析した。
【倫理的配慮】所属大学の倫理委員会の承認を得て実施した。対象者へは文書にて説明を行った。
【結果】33施設から回答を得た(回収率71.7%)。有効回答数は32施設(有効回答率96.9%)であった。
施設の種類は、GEDが24施設(75.0%)、GEDとPED併設が6施設(18.8%)、PEDが2施設(6.2%)であった。小児患者優先病床がある施設は15施設(46.9%)であった。救急車来院患者に占める小児患者割合は中央値8.9%[4.0-14.3]であった。救急外来に小児看護経験者がいる施設は19施設(59.4%)、その人数は中央値2.0名[2.0-4.0]であった。
管理者の認識として、重篤小児救急患者に関する教育は重要と回答した施設は31施設(96.9%)、優先度は高いと回答した施設は24施設(75.0%)であった。
重篤小児救急患者の看護教育プログラムがあると回答した施設は12施設(37.5%)であった。プログラムの内容は、「トリアージ」「虐待」が10施設(83.3%)、次いで「バイタルサイン」が9施設(75.0%)であった。小児患者を対象とした心肺蘇生教育として、BLSは16施設(50.0%)、ALSは9施設(28.1%)で実施されていた。小児看護経験のある教育担当者がいる施設は7施設(21.9%)であった。
教育プログラムがある施設は、小児患者優先病床がある施設(p=.047)、救急車来院患者における小児患者割合が高い施設(p=.026)、小児看護経験のある教育担当者のいる施設(p=.002)で有意に多かった。小児看護経験のある教育担当者がいる施設は、救急外来に小児看護経験者がいる施設(p=.043)で有意に多かった。
【考察】管理者は教育の重要性は高いと感じている一方、実際に教育プログラムのある施設は約4割に留まった。これは救急外来における重篤小児救急患者の割合が少ないこと、小児看護経験のある教育担当者が少ないことに関連していることが明らかとなった。積極的に重篤小児救急患者の受け入れを行っている施設との施設間連携や院外研修の活用による教育体制の充実に向けた取り組みが必要であると考える。