[O9-13] 三次救急外来における重篤小児救急患者の看護に関する実態調査(第1報)-看護師の学習ニーズ-
Keywords:小児救急看護、学習ニーズ、三次救急外来、救命救急センター、小児救命救急センター
【はじめに】重篤小児救急患者は、2010年より開設された小児救命救急センター(Pediatric Emergency Departments:以下、PED)だけでなく既存の救命救急センター(General Emergency Departments:以下、GED)でも診療を受けている現状がある。GEDで勤務する看護師は主に成人患者を対象としており、重篤小児救急患者の来院頻度も少ないことから、学習への不安感を抱えていることが考えられる。しかし、救急外来看護師(以下、スタッフ)の学習ニーズについて調査した研究は見当たらない。
【目的】三次救急外来における重篤小児救急患者に関する看護師の学習ニーズを明らかにし、教育プログラム考案の一助とする。
【方法】研究デザイン:自記式質問紙調査法による横断的実態調査研究。
対象者:全国のGEDおよびPEDを有する301施設のうち、研究協力の同意が得られた46施設のスタッフ863名。
調査方法:対象施設の看護部長に研究協力を依頼し、同意の得られた施設の救急外来看護管理者へ質問紙を郵送し、配布を依頼した。質問紙は無記名で個別郵送法にて回収し、返送により本研究への協力・同意が得られたこととした。
質問紙の概要:先行文献を参考に、重篤小児救急患者の看護に関する教育内容(13分類59項目)や教育方法のニーズについて4件法を用いた独自の質問紙を作成した。
分析方法:質問項目毎に単純集計を行い、変数間の関連をχ2検定またはFisherの正確検定で分析した。
【倫理的配慮】所属大学の倫理委員会の承認を得て実施した。対象者へは文書にて説明を行った。
【結果】44施設320名から回答を得た(回収率37.1%)。有効回答数は314名(有効回答率98.1%)であった。
参加者の属性について、年齢は中央値38歳[32-44]、看護師経験年数は中央値15年[10-20]、救急外来経験年数は中央値5年[2-8]であった。小児看護経験は、「なし」が225名(71.7%)であった。施設の種類は、「PEDなし」が253名(80.6%)であった。
学習の優先度が高かった教育内容は、13分類のうち、小児二次救命処置や小児一次救命処置の知識や実技等の「救命救急処置」91名(38.2%)、小児患者を対象とした「トリアージ」47名(19.8%)、アセスメントの実技等の「小児の呼吸」35名(14.7%)であった。
スタッフが求める教育の実施方法は、「シミュレーション」109名(35.7%)、「スキルステーション」70名(23.0%)、「講義」53名(17.4%)であった。救急看護経験年数5年以下では、「講義」が良いと回答した者が有意に多かった(p=.001)。
【考察】学習の優先度が高かった3つの教育内容は、生命に直接的に関連する項目であることがその理由と考えられる。これらの内容を優先的に教育することで、スタッフの学習ニーズを満たし、重篤で生命の危機的状況にある小児救急患者への看護を実践する上で必要な知識と技術の基盤を整えることが可能になると考える。また教育の実施方法として、より実践に即した体験型学習を求めている一方で、救急外来経験の少ないスタッフは「講義」による教育を望んでいた。これはスタッフの半数が救急外来経験年数5年以下であり、約7割に小児看護の経験がないことから、救急外来配属後に初めて小児患者看護を実践するスタッフが多く、基本的知識の学習を求めているためと考えられる。以上のことから、救急外来経験年数に応じた教育内容や教育方法を検討し、教育プログラムを作成することが必要であると考える。
【目的】三次救急外来における重篤小児救急患者に関する看護師の学習ニーズを明らかにし、教育プログラム考案の一助とする。
【方法】研究デザイン:自記式質問紙調査法による横断的実態調査研究。
対象者:全国のGEDおよびPEDを有する301施設のうち、研究協力の同意が得られた46施設のスタッフ863名。
調査方法:対象施設の看護部長に研究協力を依頼し、同意の得られた施設の救急外来看護管理者へ質問紙を郵送し、配布を依頼した。質問紙は無記名で個別郵送法にて回収し、返送により本研究への協力・同意が得られたこととした。
質問紙の概要:先行文献を参考に、重篤小児救急患者の看護に関する教育内容(13分類59項目)や教育方法のニーズについて4件法を用いた独自の質問紙を作成した。
分析方法:質問項目毎に単純集計を行い、変数間の関連をχ2検定またはFisherの正確検定で分析した。
【倫理的配慮】所属大学の倫理委員会の承認を得て実施した。対象者へは文書にて説明を行った。
【結果】44施設320名から回答を得た(回収率37.1%)。有効回答数は314名(有効回答率98.1%)であった。
参加者の属性について、年齢は中央値38歳[32-44]、看護師経験年数は中央値15年[10-20]、救急外来経験年数は中央値5年[2-8]であった。小児看護経験は、「なし」が225名(71.7%)であった。施設の種類は、「PEDなし」が253名(80.6%)であった。
学習の優先度が高かった教育内容は、13分類のうち、小児二次救命処置や小児一次救命処置の知識や実技等の「救命救急処置」91名(38.2%)、小児患者を対象とした「トリアージ」47名(19.8%)、アセスメントの実技等の「小児の呼吸」35名(14.7%)であった。
スタッフが求める教育の実施方法は、「シミュレーション」109名(35.7%)、「スキルステーション」70名(23.0%)、「講義」53名(17.4%)であった。救急看護経験年数5年以下では、「講義」が良いと回答した者が有意に多かった(p=.001)。
【考察】学習の優先度が高かった3つの教育内容は、生命に直接的に関連する項目であることがその理由と考えられる。これらの内容を優先的に教育することで、スタッフの学習ニーズを満たし、重篤で生命の危機的状況にある小児救急患者への看護を実践する上で必要な知識と技術の基盤を整えることが可能になると考える。また教育の実施方法として、より実践に即した体験型学習を求めている一方で、救急外来経験の少ないスタッフは「講義」による教育を望んでいた。これはスタッフの半数が救急外来経験年数5年以下であり、約7割に小児看護の経験がないことから、救急外来配属後に初めて小児患者看護を実践するスタッフが多く、基本的知識の学習を求めているためと考えられる。以上のことから、救急外来経験年数に応じた教育内容や教育方法を検討し、教育プログラムを作成することが必要であると考える。