[O9-24] 急変時の看護記録記載トレーニングの取り組みと評価~自主制作した視聴覚教材による記録トレーニング~
Keywords:急変時、経時記録、視聴覚教材、トレーニング
【背景】
A病院では、2013年から救急ケア推進チームが中心となり急変時看護記録の充実を図る取り組みを行っている。その結果、急変時の適切な看護記録内容は向上した。しかし、救命処置講習(BLS、ALS)では、時間的制約があるため急変時看護記録の実践練習に至らない現状があった。このため、急変時看護記録に特化した教育が必要であると考えた。A病院では、看護教育の一環としてe-Learningを導入しているが、救命処置の動画では、使用物品や医療機器、緊急コールシステムなどが異なるため、A病院での急変対応、特に看護記録に関してはイメージしにくいのではないかと考えた。そこで今回、A病院で発生する急変と対応がイメージしやすく、且つ、反復学習が可能となる視聴覚教材を用いた急変時看護記録記載トレーニング(以下、記録トレーニング)について検討した。
【目的】
病棟看護師が急変時に正確な看護記録を記載するため、自主制作した視聴覚教材による記録トレーニングの効果と今後の課題を明確にする。
【方法】
研究デザイン: 量的記述研究デザイン
対象: 記録トレーニングに参加した病棟看護師 計55名
期間: 2018年1月
内容:(1)記録トレーニング用の視聴覚教材として、A病院で発生した急変対応の動画を作成
(2)1研修の中で動画を用いた記録トレーニングを2回実施
① 動画を視聴しながら記録の実践練習1回目
② ①を「急変時看護記録監査表(以下、監査表)」で自己評価
③ 急変時看護記録についての講義(10分)
④ 動画を視聴しながら記録の実践練習2回目
⑤ ④を監査表で他者評価
(3)記録トレーニング前後で、急変時看護記録の理解度について自作のアンケートを実施
(4)実践練習に用いた記録は研修終了後、講師が監査
データ分析方法: Wilcoxon検定、p<0.05を有意水準とした
単純集計
【倫理的配慮】
A病院の倫理委員会の承諾を得て実施した。
【結果】
看護師経験年数は1~24年目で、急変経験回数は平均3.23回であった。記録トレーニングでは監査表の基準を満たす急変時看護記録の正答率が66%から94%に上昇した(P<0.001)。また、急変時看護記録のアンケート結果では、理解度が向上する回答が増加した。
【考察】
記録トレーニングの中で、急変時看護記録の正答率は上昇した。先行研究では、動画は知識向上につながり、普段よくある風景で注意点がわかりやすいなどの有用性が明らかにされている(是村,2018)。このような動画の有用性を活かし、急変時看護記録に特化した研修を独自に考案した。1研修内で2回の記録トレーニングを実施したことにより、反復学習の効果が見られたと考える。対象施設の急変を想定した動画にしたことで、緊張感や臨場感のある研修につながったと考える。また、動画内にデジタル時計を表示したことで、経時記録に対する意識付けができた。さらに、監査表を用いて記録を評価したことで、記載項目と基準が明確になったと考える。今回、幅広い経験年数の参加者に対し、急変時看護記録の理解を高めることができた。今後は、継続的な記録トレーニングが必要であると共に、キャリア開発ラダーレベルの役割に合わせた教育を計画していくことも重要である。
A病院では、2013年から救急ケア推進チームが中心となり急変時看護記録の充実を図る取り組みを行っている。その結果、急変時の適切な看護記録内容は向上した。しかし、救命処置講習(BLS、ALS)では、時間的制約があるため急変時看護記録の実践練習に至らない現状があった。このため、急変時看護記録に特化した教育が必要であると考えた。A病院では、看護教育の一環としてe-Learningを導入しているが、救命処置の動画では、使用物品や医療機器、緊急コールシステムなどが異なるため、A病院での急変対応、特に看護記録に関してはイメージしにくいのではないかと考えた。そこで今回、A病院で発生する急変と対応がイメージしやすく、且つ、反復学習が可能となる視聴覚教材を用いた急変時看護記録記載トレーニング(以下、記録トレーニング)について検討した。
【目的】
病棟看護師が急変時に正確な看護記録を記載するため、自主制作した視聴覚教材による記録トレーニングの効果と今後の課題を明確にする。
【方法】
研究デザイン: 量的記述研究デザイン
対象: 記録トレーニングに参加した病棟看護師 計55名
期間: 2018年1月
内容:(1)記録トレーニング用の視聴覚教材として、A病院で発生した急変対応の動画を作成
(2)1研修の中で動画を用いた記録トレーニングを2回実施
① 動画を視聴しながら記録の実践練習1回目
② ①を「急変時看護記録監査表(以下、監査表)」で自己評価
③ 急変時看護記録についての講義(10分)
④ 動画を視聴しながら記録の実践練習2回目
⑤ ④を監査表で他者評価
(3)記録トレーニング前後で、急変時看護記録の理解度について自作のアンケートを実施
(4)実践練習に用いた記録は研修終了後、講師が監査
データ分析方法: Wilcoxon検定、p<0.05を有意水準とした
単純集計
【倫理的配慮】
A病院の倫理委員会の承諾を得て実施した。
【結果】
看護師経験年数は1~24年目で、急変経験回数は平均3.23回であった。記録トレーニングでは監査表の基準を満たす急変時看護記録の正答率が66%から94%に上昇した(P<0.001)。また、急変時看護記録のアンケート結果では、理解度が向上する回答が増加した。
【考察】
記録トレーニングの中で、急変時看護記録の正答率は上昇した。先行研究では、動画は知識向上につながり、普段よくある風景で注意点がわかりやすいなどの有用性が明らかにされている(是村,2018)。このような動画の有用性を活かし、急変時看護記録に特化した研修を独自に考案した。1研修内で2回の記録トレーニングを実施したことにより、反復学習の効果が見られたと考える。対象施設の急変を想定した動画にしたことで、緊張感や臨場感のある研修につながったと考える。また、動画内にデジタル時計を表示したことで、経時記録に対する意識付けができた。さらに、監査表を用いて記録を評価したことで、記載項目と基準が明確になったと考える。今回、幅広い経験年数の参加者に対し、急変時看護記録の理解を高めることができた。今後は、継続的な記録トレーニングが必要であると共に、キャリア開発ラダーレベルの役割に合わせた教育を計画していくことも重要である。