10:00 〜 11:30
[JA10] 全日制普通科高校における特別支援教育の実践と課題
神奈川県の取組みを通して
【企画の趣旨】2016年4月より「障害者差別解消法」が施行されて、国公立学校を含む行政機関は、障害を理由とする不当な差別的取り扱いの禁止義務を負うこととなり(同法第7条)、障害者から社会的障壁の除去求める意思表明があれば、その負担が過重でない場合は「合理的配慮」をしなければならないというきわめて重い責務を負うこととなった。
さて、2007年に学校教育法が一部改正され、高校に特別支援教育が導入されてから8年が経過した。その間、高校では文部科学省から出された通知に基づき特別支援教育体制の整備が進められ、文部科学省「平成26年度特別支援教育体制整備状況調査」においては、高校の体制整備についての遅れは指摘されているものの、「公立高等学校においては『校内委員会の設置』、『実態把握』、『特別支援教育コーディネーターの指名』といった基礎的な支援体制はここ数年で着実に進みつつある」と述べられている。しかしながら、2014年6月、「中央教育審議会初等中等教育分科会高等学校教育部会審議まとめ」では「各地域・学校の実態・ニーズに即した種々の実践や検討をより一層進める必要がある」、「教育課程の弾力的な運用や指導の工夫により、種々の実践を進めるとともに、特別の教育課程の編成や教職員定数の在り方についても検討を深める必要がある」と指摘されている点は見逃せない。
高校の特別支援教育については、学校生活全般を一人の教師が担う小学校、そして同じ教科担当制である中学校に比べて、義務教育ではない等の理由で支援体制づくりにおいても困難な面があることなどから、十分な取組みができていない現状にある。特に高校においては、課程や学科等の違いによる教育システムの多様化、及び単位修得制という制度の問題、さらに学習に苦手意識をもち意欲があまりみられない生徒も出てくるなど、小学校、中学校とは異なる対応についての検討が必要である。しかし、教育課程が小学校や中学校に比べて柔軟であるため、学びやすい科目や教科の設定、試験に関する配慮や支援、多様で個に応じた評価方法の工夫等により、学ぶ意欲が高まり自立する力が伸びていく生徒も少なくないと思われる。このように、小学校・中学校とは異なる高等学校独自の事情をふまえ、「高等学校ならではの特別支援教育」を早急に構築する必要がある。
また、文部科学省は平成26年度から平成28年度の3年間にわたり、「高等学校における個々の能力・才能を伸ばす特別支援教育」の研究開発校として、全国19校(平成27年度より3校追加となり22校)を指定した。この研究開発の課題は「高等学校において、発達障害等で特別な教育的支援を必要とする生徒の自立や社会参加に必要な知識、技能、態度及び習慣を育成するため、『自立活動』を取り入れた教育課程の編成・実施、指導内容、指導方法、評価方法及び指導形態に関わる研究」、「学習指導要領に定められた単位数を超えて、教科・科目ではない特別な指導の領域を設け、高等学校普通科における特別支援教育を充実させ、障害や学習に遅れのある生徒の自立や社会参加の推進を図るための研究開発」等である。本シンポジウムでは、研究開発校として指定された神奈川県立綾瀬西高等学校における2年間の取組みを中心に、神奈川県でインクルーシブ教育実践推進校(パイロット校)の新たな取組み、神奈川県の全日制普通科高校の取組みについての発表を行う。本研究が契機となり、今後、高校におけるインクルーシブ教育システムの推進が重要視されていくと思われる。今年度、会場が横浜であることをふまえ、神奈川県の全日制普通科公立高校の取組みの成果と課題を本シンポジウムで共有しながら、今後の取組みの課題について検討したい。
さて、2007年に学校教育法が一部改正され、高校に特別支援教育が導入されてから8年が経過した。その間、高校では文部科学省から出された通知に基づき特別支援教育体制の整備が進められ、文部科学省「平成26年度特別支援教育体制整備状況調査」においては、高校の体制整備についての遅れは指摘されているものの、「公立高等学校においては『校内委員会の設置』、『実態把握』、『特別支援教育コーディネーターの指名』といった基礎的な支援体制はここ数年で着実に進みつつある」と述べられている。しかしながら、2014年6月、「中央教育審議会初等中等教育分科会高等学校教育部会審議まとめ」では「各地域・学校の実態・ニーズに即した種々の実践や検討をより一層進める必要がある」、「教育課程の弾力的な運用や指導の工夫により、種々の実践を進めるとともに、特別の教育課程の編成や教職員定数の在り方についても検討を深める必要がある」と指摘されている点は見逃せない。
高校の特別支援教育については、学校生活全般を一人の教師が担う小学校、そして同じ教科担当制である中学校に比べて、義務教育ではない等の理由で支援体制づくりにおいても困難な面があることなどから、十分な取組みができていない現状にある。特に高校においては、課程や学科等の違いによる教育システムの多様化、及び単位修得制という制度の問題、さらに学習に苦手意識をもち意欲があまりみられない生徒も出てくるなど、小学校、中学校とは異なる対応についての検討が必要である。しかし、教育課程が小学校や中学校に比べて柔軟であるため、学びやすい科目や教科の設定、試験に関する配慮や支援、多様で個に応じた評価方法の工夫等により、学ぶ意欲が高まり自立する力が伸びていく生徒も少なくないと思われる。このように、小学校・中学校とは異なる高等学校独自の事情をふまえ、「高等学校ならではの特別支援教育」を早急に構築する必要がある。
また、文部科学省は平成26年度から平成28年度の3年間にわたり、「高等学校における個々の能力・才能を伸ばす特別支援教育」の研究開発校として、全国19校(平成27年度より3校追加となり22校)を指定した。この研究開発の課題は「高等学校において、発達障害等で特別な教育的支援を必要とする生徒の自立や社会参加に必要な知識、技能、態度及び習慣を育成するため、『自立活動』を取り入れた教育課程の編成・実施、指導内容、指導方法、評価方法及び指導形態に関わる研究」、「学習指導要領に定められた単位数を超えて、教科・科目ではない特別な指導の領域を設け、高等学校普通科における特別支援教育を充実させ、障害や学習に遅れのある生徒の自立や社会参加の推進を図るための研究開発」等である。本シンポジウムでは、研究開発校として指定された神奈川県立綾瀬西高等学校における2年間の取組みを中心に、神奈川県でインクルーシブ教育実践推進校(パイロット校)の新たな取組み、神奈川県の全日制普通科高校の取組みについての発表を行う。本研究が契機となり、今後、高校におけるインクルーシブ教育システムの推進が重要視されていくと思われる。今年度、会場が横浜であることをふまえ、神奈川県の全日制普通科公立高校の取組みの成果と課題を本シンポジウムで共有しながら、今後の取組みの課題について検討したい。
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