一般社団法人 日本LD学会 第25回大会(東京)

講演情報

大会会長講演

[TKK01] 発達障害の子どもと親「育ち、育てられ」

2016年11月19日(土) 09:30 〜 10:00 メインホール (会議センター1階)

講師:篁倫子(お茶の水女子大学),司会者:漆澤恭子(植草学園短期大学)

09:30 〜 10:00

[TKK01] 発達障害の子どもと親「育ち、育てられ」

講師:篁倫子1, 司会者:漆澤恭子2 (1.お茶の水女子大学, 2.植草学園短期大学)

心理臨床に携わるとほぼ同時に発達障害の臨床に関わるようになって云十年。その過程で行ってきた未熟児の長期追跡研究と親のメンタルヘルスと支援に関する実践研究から、本大会テーマにかかる一つの視点を提示したい。
初めに発達上のハイリスク児と言われる早産・極低出生体重で出生した子どもの長期フォロアップ研究について触れる。より早く、より小さく生まれた子どもは、確かに発育・発達に関する問題や発達障害のリスクは高いことを認めた。しかし、個々の事例は、子どもの育ちや生活適応をこれらの周産期要因をもって予測することは難しい、と語っていた。
一方、専門職や支援者にとって重要なパートナーとなる親のメンタルヘルスが重要であることは言うまでもない。ただし、親は養育者であると同時に、自身の人生を生きている。親を支援するとはどういうことなのだろうか。親のメンタルヘルス・QOLや支援・介入に関する検討からは、母親の精神的疲労度は父親と比べて高く、そのQOLには子育ての負担感だけではなく、経済的要因や夫婦関係などが影響していたことが示された。同時に、親の会、療育、専門機関などのリソースを活用する中で、親は子どもに対するサポートを求めながら、同時に自分自身の成長(育つ)とケアを模索していることが示唆された。支援として、ペアレントトレーニングにストレスマネジメントを取り入れたプログラムを試みたが、その中で確認したことは、子どもへの対応について悩み続けながらも、親自身がエンパワーされたと感じる体験の大切さであった。
人は「育てられ、育つ」という。発達障害の子どもの育つ力も、親の育つ力も大きい。それを支える視点からは「育ち、育てられる」のプロセスが展開される。

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