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[R1P-05] 山口県山口市一ノ坂銀山産鉱石の鉱物学的特徴
キーワード:一ノ坂、銀山、自然銀、輝銀鉱、カンフィールド鉱
一ノ坂銀山は1591年から約30年間稼働した銀山で,「天又銀」等の銀貨が造られたことで知られる歴史的に重要な鉱山である.一ノ坂銀山は佐々並コールドロンの割れ目に沿って貫入した環状岩脈である小吹峠珪長質貫入岩類分布域に位置する鉱脈鉱床である.本研究では一ノ坂銀山の鉱石の銀鉱物を含む構成鉱物とそれらの化学的特徴,さらに形成過程を検討した.大松間歩のズリから採取された鉱石は,主にバラ輝石,テフロ石,ザクロ石,菱マンガン鉱で構成されるマンガン鉱石であった.鉱石中には,含銀鉱物として自然銀,輝銀鉱,カンフィールド鉱が認められた.主要鉱石鉱物は,方鉛鉱,黄銅鉱,閃亜鉛鉱,黄鉄鉱で,方鉛鉱が最も卓越する.また,含銀鉱物はマンガン鉱物や他の鉱石鉱物を切る脈に含まれる。岩石組織に基づくと,これらの鉱石鉱物はバラ輝石やテフロ石を主とするマンガン鉱石形成後に1) 早期に方鉛鉱,2) 中期~後期に黄銅鉱,閃亜鉛鉱,黄鉄鉱,3) 後期に含銀鉱物の順で晶出すると考えられる。