一般社団法人日本鉱物科学会2021年年会・総会

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R1:鉱物記載・分析評価(宝石学会(日本) との共通 セッション)

2021年9月17日(金) 09:30 〜 18:30 ePoster Session

09:30 〜 18:30

[R1P-13] 島根半島古浦ヶ鼻の熱水変質玄武岩中に産する二次鉱物とその生成プロセスについて

「発表賞エントリー」

*伊藤 修一1、永嶌 真理子1 (1. 山口大学・創成科学)

キーワード:ぶどう石、パンペリー石、フェリぶどう石、バビントン石、古浦ヶ鼻


島根半島古浦ヶ鼻地域に産する熱水変質玄武岩中には,晶洞や脈として二次鉱物が産する.本調査では母岩が枕状溶岩の形態を成しており,その構造と二次鉱物の産状に密接な関係があると分かってきた。二次鉱物の組合せは同一岩体内で異なり,各々晶出順にパンペリー石+ぶどう石 (産状A),またはぶどう石+バビントン石+トムソン沸石(産状B)の二つがみられる。産状Aは枕状溶岩内部の空隙に産し,産状Bは枕状溶岩同士の間隙に産する。また,産状Bは鏡下で結晶性の弱い相の発達やバビントン石に見られるセクターゾーニングなど急冷組織が発達し,後期に緑簾石とジュルゴルド石を含む脈やフェリぶどう石から成る細脈も見られた.これらのことから,産状Bは産状Aよりも明らかに低温・急冷過程で生成したと考えられる。この局所的な生成プロセスの違いは枕状溶岩という母岩の構造に起因し,産状Bの形成には海水の関与が考えられる.