一般社団法人日本鉱物科学会2021年年会・総会

講演情報

口頭講演

R2:結晶構造・結晶化学・物性・結晶成長・応用鉱物

2021年9月16日(木) 14:00 〜 17:15 Zoom Session 2

座長:小松 一生、篠崎 彩子、永嶌 真理子

16:25 〜 16:40

[R2-10] 構造中にバリウムを含むカルサイトの高圧下での挙動

*鍵 裕之1、斉藤 綾花1 (1. 東大・院理)

キーワード:方解石、バリウム、高圧

アルカリ土類のSrやBaといったイオン半径の大きな元素はカルサイトに取り込まれにくい。筆者らは非晶質炭酸カルシウムにこれらの不適合元素を取り込ませた後に結晶化させることでSr、Baイオンを構造中に取り込んだカルサイトを得た。
本研究ではBaを含むカルサイトの高圧下での粉末X線回折パターンを観察した。
純粋なカルサイトでは1.8 GPa でcalcite Iからcalcite IIへの相転移が観察されたのに対して、Baを含むカルサイトでは相転移は観察されなかった。Ba濃度8.2 mol%のカルサイトでも同様の結果が得られた。
高温条件ではカルサイトの113反射が炭酸イオンのdisorderによって消失する。一方、Baを含むカルサイトでは室温条件で113反射が消失する。高圧下でも113反射は消失したままで、高圧下で単位胞体積が減少しても炭酸イオンはdisorderの状態であることがわかった。カルサイトに不適合なBaが構造中に取り込まれることで、カルサイトの高圧下での挙動が大きく変化することが明らかになった。