一般社団法人日本鉱物科学会2021年年会・総会

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S1, S4:火成作用及びプレート収束域の物質科学合同セッション

2021年9月17日(金) 09:30 〜 18:30 ePoster Session

09:30 〜 18:30

[S4P-02] マイロナイトの組織から考察するヒマラヤ地域の主中央衝上断層の運動像

*樹神 洸寿1、安東 淳一1、Das Kaushik1、Sakar Dyuti Prakash1 (1. 広島大理工)

キーワード:マイロナイト、層状珪酸塩鉱物、c軸ファブリック、チャネルフロー


脆性-塑性遷移領域における断層運動の素過程の解明を目的とし、主中央衝上断層系に属する北アルモラ衝上断層帯に露出するマイロナイト化した岩石の変形微細組織のキャラクタリゼーションを行った。その結果、以下のことが明らかとなった。1)マイロナイト化の温度条件は450-550 ℃であった。2)マイロナイト化は押しつぶしの場で生じ、その流動応力は35-60 MPaであった。3)調査地域の剪断センスはtop-to-southであったが、NATに接する南部地域のみtop-to-northであった。この逆センスの剪断はチャネルフローを示唆する。4)層状珪酸塩鉱物の含有量は北アルモラ衝上断層に近づくに従って増大する。また、層状珪酸塩鉱物の含有量の増加に伴って結晶方位定向配列の集中度が低下し、かつ石英粒子のアスペクト比が大きくなる傾向が見てとれる。これらの結果は、岩石の変形に流体が大きく関与していることを示唆する。現時点では、NATに近づくに従って変形メカニズムが転位クリープから圧力溶解クリープに変化した可能性、或いは、層状珪酸塩鉱物への変形集中の可能性を考えている。